2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

フランシス・マクド―マンド、タフで優しい女性を演じる

ミシシッピ州フィラデルフィアで3人の公民権活動家が行方不明になった。その捜査のために2名の捜査官が現地に出向く。調査は地元のKKKや保安官たちの妨害に合う。そんな中でたたき上げの捜査官アンダーソン(ジーン・ハックマン)は保安官補の妻に情報をもら…

『さすらいのカウボーイ』と原題The Hired Hand

ピーター・フォンダの初監督作品『さすらいのカウボーイ』(1971年)がなぜか記憶に残っています。特に好きな俳優でも監督でもないけれど、作品が印象的。 今度も英語のタイトルにこだわりますが、内容にかかわりますので。The Hired Handは使用人、(農場の…

『グロリア』カサヴェテス夫妻の離れ業

1989年に59才でなくなったジョン・カサヴェテスというギリシャ系のニューヨーク・インディーズの監督がいました。『ローズマリーの赤ちゃん』(1968年)でミア・ファーローの夫役で出ている、細面のクセあのる顔つきの俳優です。カサヴェテスは俳優の出演料…

『ペーパーチェース』とティモシー・ボトムズ

ブラック・シネマについて書いたら70年代のアメリカ映画についても少しと思ったのですが。 『70年代アメリカ映画100』(芸術新聞社)をながめると、とてもとてもたくさんいい映画があって簡単にはふれられないと思いました。すごい時代だったんだ、やっぱり…

いろいろと

テーマを決めて書くことに少し疲れてきたので、miscellaneous(寄せ集めの、ツギハギ的な)な内容で。 1年以上続いていた腰痛がよくなってきたような。コルセットを1日のうちで半分以上の時間していました。朝おきて顔を洗う時にかがむのができない時も。寝…

黒人監督という存在

朝刊にアメリカの黒人映画監督メルビン・ヴァン・ピーブルズ(1932~2021)の訃報が載っていた。1971年の『スイート・スイートバック』がブラック・シネマの先駆けとなったと言う意味で映画史的に重要です。一般的には『黒いジャガー』(1971)や『スーパー…

デュ・モーリエ、孫娘とお爺ちゃん

ヒッチコックの映画『レベッカ』、『鳥』の原作者ダフニ・デュ・モーリエについては前から関心があったのですが、今回はテネシー・ウィリアムズの『ガラスの動物園』(1950)のアマンダ役にイギリスのミュージカル女優ガートルード・ローレンスが出演してい…

『熱いトタン屋根の上の猫』と序文の話 

Cat on a Hot Tin Roofはテネシー・ウィリアムズの1955年の作品で1958年にリチャード・ブルックス監督の手によって映画化されています。ポール・ニューマン33才、エリザベス・テーラー26才。 監督のリチャード・ブルックスは『プロフェッショナル』(1966年…

『ゴリオ爺さん』、下宿小説

こんどはバルザックです。フローベールを読んでいる時、訳者がフローベールはバルザックとゾラのちょうど間の世代なんですと言っていましたので。なんかラブレーを生んだ国の作家たち。英文学とは静けさとはちがい、過剰な豊饒な騒々しい世界で、これもまた…

『青が散る』、青春小説+テニス小説

1970年代から80年代にかけてテニス・ブームって言うのがありました。1974年~81年にかけてボルグが全英、全仏で、1979年~83年 にかけてマッケンローが全英、全米で優勝しました。『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』(2017年)が作られるくらいテニス…

反教育小説としての『感情教育』

フローベールは、実は国民兵として銃を持って革命に参加し、民衆による略奪をみたり、共和国宣言を聞いたりしたらしい。でもリアリストであるフローベールは、革命派でも王政派でもなく、一市民(そんな立ち位置があるのか疑問ですが)として、淡々と1848年…

『感情教育』、恋愛と革命

フローベール、1869年の自伝的な作品です。う~ん、イギリスの『人間の絆』とはちがうなぁ。まず恋愛が多い。主人公のフレデリック・モロー、18才から45才までの4人の女性との愛の遍歴というか。L’Education sentimentl のsentimentalはあのロレンス・スター…

現実を名指し、世界をつなぎとめる言葉

昨日の朝刊に出ていた哲学者の国分一郎さんのインタビューから。 「我々と世界をつなぎとめているのは言葉である。だから言葉が実際に起こっていることを名指さないようになると、我々は世界とのつながりを失ってしまう。」 首相は説明できない人だった。言…

団結の歌、「不屈の民」

ジョヴァンニ・ミラバッシの2001年ライブ、Dal Vivo! を買ったんですが、1枚目のSummer’s Goneがそれ程でもなかったのに、惰性?で買ったようで後悔?しつつ聞いていたらけっこういい。特に最後の曲がよかった。みると「不屈の民」というラテン・アメリカの…

挑戦?!

今年初めて挑戦したとうきび。順調に生育して、中耕(とちゅうで土を耕す)や追肥もやり。9月はじめにもいで食べてみました。茹でるのではなく蒸す方法で。美味しかったです。素人にもできる。2本目はまぁまぁ。3本目は2番目に美味しい。しかしその後が続か…

ガートルード・スタインの『3人の女』

富岡多恵子訳の『3人の女』は入手が難しいので、本家の『三つの物語』(光文社古典新訳文庫)に挑戦。と思っていたら、別の本を探しているときにまた本棚のすみに中公文庫の『3人の女』が見つかった。よかった。アマゾンで本の保存状態が「可」で1200円~2000…

フローベールの「素朴なひと」

なぜフローベールかというと、ガートルード・スタインの『3人の女』をはるか昔に授業で読んで印象に残っていました。それと基になったフローベールの『三つの物語』を比較しようと思ったのです。しかし『三つの物語』の1つ目の「素朴なひと」についてだけで…

Summer’s Gone

Summer’s Goneというアルバムの Summer’s Goneという曲を聴いて、「夏の終わり」の気分にひたっています。ジョヴァンニ・ミラバッシという50才くらいのイタリア人ピアニストのアルバムです。 イタリアのジャズ・ピアニストとして、アントニオ・ファラオはリ…

empathyとsympathy

『他者の靴を履く――アナ―キック・エンパシーのすすめ』というブレイディみかこさんの本の書評を読んでの感想です。 まずここで元英語教師の血というか疑問というか、定義の確認をしたくなります。とりあえず手元にあるConcise Oxford Dictionaryでempathyに…

文明の衝突と一人一人の死――米国同時多発テロに接して

3日間のナイアガラ見物を終えて9月10日(月)午後11時過ぎ、ニューヨークが嵐のため4時間近く出発が遅れてバッファロー空港(ニューヨーク州北西)を発った便は、11日(火)未明ラガーディア空港に着いた。その時着陸間際の飛行機の窓から見た夜景が、ツイ…

がっかり

12日で解除だと期待したのですが・・・本当はたぶん延長だろうなと思いつつ、解除になればいいなと。 気を取り直して、7週間ぶりに街に買い物に。その前にガレリアにかみさんのお使い。お姉さんたち三人にあいさつ。ちょうど丸井の開店で供花の手配。大学時…

モーム、グリーン、作家/スパイ

モーム、は914年に第1次大戦がはじまったときに40才。医師でフランス語に堪能なので野戦病院部隊に志願 しフランス戦線に派遣されます。その後は情報部勤務に転じジュネーヴを本拠に諜報活動に従事しています。たぶん作家としてそれなりに有名で、フランス語…

モームとモンゴメリー

サマセット・モームとL・M・モンゴメリーはともに1874年生まれです。たまたま同時期に関心を持った作家が同い年とは。ヴィクトリア朝から近代に変わろうとする大きな世紀転換期に生きた二人でした。それもそれ以外にも共通もいくつか。でもイギリスとカナダ…

『戦場にかける橋』と『猿の惑星』

始まりは散歩中に雨宿りしていた時に話したアイルランド人の男性(55才)が自分はコーネリアスというんだが「コンちゃん」と呼ばれていますと言っていた事。後でコーネリアスを調べたら、思い出した。あの『猿の惑星』の主要登場人物の名前でした。とらえど…

外人と自転車

昨日発寒河川公園を散歩・買い物をした帰りに雨に降られました。走って帰るには少しだけ距離があるので、四阿(あずまや)で雨宿り。そこに自転車に乗った外人3人が来ました。タイヤの太さに関心があるので、聞いてみると32㎜。僕の自転車の後輪と同じ。そこ…

マリラの気持ちとアンの居場所@第29章

テレビ版(カナダ)ではマリラはアンがいい事をしても、プロテスタント(長老会派)の教えなのか、つけ上がる?事を恐れるのか、めったに褒めません。解説本などでは「虚栄心」(≒vanity)と説明していましたがうぬぼれと言ってもいいような。または愛おしく…

赤毛のアン、大人の成長物語

NHKの朝の連ドラ(再放送)+テレビ版(カナダ製作)などかみさんが見ているので、家庭内の会話のために僕も見ています。するとつい原作(文庫)、解説本などにも手を出して。 アンが引き取られるカスバ―ト農場には少年の雇人がいます。親切な彼に対して、ア…

『お菓子とビール』その2

90年前の作品です。語り手のアシェンデン(名前を聞いたことがありますね)に、知り合いの作家アルロイ・キアから連絡が入る。最近亡くなった大作家ドリッフィールドの未亡人から伝記執筆の依頼を受けたアルロイは、晩年については知っているが、無名時代の…

『お菓子とビール』とタイトル

1930年、サマセット・モーム56才の時の作品で、一番(それほど読んでいないのに)好きかも。作家自身もModern Libraryで出版された時の序文で、「『人間の絆』が私の作品の中で一番優れているという一般の意見に同意しますが、『お菓子とビール』が一番好き…

モームの流行と衰退と復活?

『人間の絆』をKindleで上下巻の下の3分1を読んだあたりで河出書房新社の『世界文学全集Ⅱ‐17 モーム』(昭和39年)が見つかった。本棚の端に隠れるようにしていました。Kindleで上下600円×2でしたが、少し暗いところでもipad miniでけっこう読めました。ただ…