2021-01-01から1年間の記事一覧

宮本輝とドン・プーレン

一見無理やりな組み合わせのようですが、宮本輝の『水のかたち』(集英社文庫)にドン・プーレンとジョージ・アダムズのBreakthroughのSong from the Old Counryが出てくるんです。1986年のBreakthroughは邦題『ブレークスルー(ソング・フロム・ジ・オール…

紅葉散策

あさ1時間ほどテニスをしてから、盤渓バスに乗り西野~盤渓~真駒内へ。 午後1時少し前に真駒内の中華「山ちゃん」でランチ。ビールはジョッキに1杯のみで、山ちゃんランチ・セットを二人でつまみ兼食事。青椒肉絲、麻婆豆腐、棒棒鶏が小皿で。けっこうおい…

『田園発港行き自転車』、タイトルにも自転車が・・・

近藤史恵の自転車レース小説『サクリファイス』の次に宮本輝の『田園発港行き自転車』を選んだのは偶然です。 宮本輝は父親の伝記的な「流転」シリーズはタイトルもふくめて苦手で近づいていません。それ以外の文庫はけっこう読み続けていて、その流れで『田…

ロード・レース小説『サクリファイス』

ツール・ド・フランスの名前くらいしか知らないのに、近藤史恵の『サクリファイス』(新潮文庫)を読んでしまった。たぶん自転車に関心があるせいでしょう。電動アシストなんて老人向けの自転車に乗っているのですが。でも電動アシスト自転車もe-bycという風…

アントニオ君の参加CDだった

スイスのフリューゲルホーン奏者、フランコ・アンブロゼッティ(1941年生まれ)のLight Breezeが届いた。えっ注文した覚えがない。でももしかしたらイタリアのピアニスト、アントニオ・ファラオがサイドメンで演奏しているCDかと確認したら、そうでした。そ…

ジェイソン・ロバーズ、渋い・・・

何人か女優や俳優について書いていますが、ついたくさんの出演作を紹介しようとして総花的になってしまった。作品を絞って書くことに。 僕がジェイソン・ロバーズを発見したのは『墓石と決闘』(1967年)です。俳優45才の時。ワイアット・アープの友人ドク・…

ジェーン・フォンダ、70年代のミューズ

振り返ってみるとジェーン・フォンダなのだ。ニューシネマの走りともいえるアーサー・ペンの『逃亡地帯』(65)をのぞいて、『輪舞』(64)、『獲物の分け前』(66)、『バーバレラ』(68)と60年代のジェーン・フォンダの輝かしさをスクリーンに描き出した…

ポラック監督 + レッドフォード

シドニー・ポラック監督 + ロバート・レッドフォード主演の作品、けっこう多いんです。『雨のニューオリンズ』(1966)、『大いなる勇者』(1972)、『追憶』(1973)、そして『コンドル』(1975)、『出逢い』(1979)、『愛と哀しみの果て』(1985)の計6…

1か月ぶり

10月1日(金)緊急事態宣言解除後の初日、あさ8時ころ自転車で買い物がてら、山の手コートに顔を出す。管理のK田さんが来ていて、もう掃除はすませたと。すると、常連のS原さんも来る。 僕は買い物をすませて、ラケットをもってコートへ。だんだん人が増えて…

ダイアン・ウィースト 曖昧な笑み

『ハンナとその姉妹』(1986)と『ブロードウェイの銃弾』(1994年)でアカデミー助演女優賞を受賞。 『恋に落ちて』(1984年)をはさんで、『カイロの紫のバラ』(1985年)、『ラジオ・デイズ』(1987年)。ウディ・アレン映画の常連と言っていいでしょうか…

フランシス・マクド―マンド、タフで優しい女性を演じる

ミシシッピ州フィラデルフィアで3人の公民権活動家が行方不明になった。その捜査のために2名の捜査官が現地に出向く。調査は地元のKKKや保安官たちの妨害に合う。そんな中でたたき上げの捜査官アンダーソン(ジーン・ハックマン)は保安官補の妻に情報をもら…

『さすらいのカウボーイ』と原題The Hired Hand

ピーター・フォンダの初監督作品『さすらいのカウボーイ』(1971年)がなぜか記憶に残っています。特に好きな俳優でも監督でもないけれど、作品が印象的。 今度も英語のタイトルにこだわりますが、内容にかかわりますので。The Hired Handは使用人、(農場の…

『グロリア』カサヴェテス夫妻の離れ業

1989年に59才でなくなったジョン・カサヴェテスというギリシャ系のニューヨーク・インディーズの監督がいました。『ローズマリーの赤ちゃん』(1968年)でミア・ファーローの夫役で出ている、細面のクセあのる顔つきの俳優です。カサヴェテスは俳優の出演料…

『ペーパーチェース』とティモシー・ボトムズ

ブラック・シネマについて書いたら70年代のアメリカ映画についても少しと思ったのですが。 『70年代アメリカ映画100』(芸術新聞社)をながめると、とてもとてもたくさんいい映画があって簡単にはふれられないと思いました。すごい時代だったんだ、やっぱり…

いろいろと

テーマを決めて書くことに少し疲れてきたので、miscellaneous(寄せ集めの、ツギハギ的な)な内容で。 1年以上続いていた腰痛がよくなってきたような。コルセットを1日のうちで半分以上の時間していました。朝おきて顔を洗う時にかがむのができない時も。寝…

黒人監督という存在

朝刊にアメリカの黒人映画監督メルビン・ヴァン・ピーブルズ(1932~2021)の訃報が載っていた。1971年の『スイート・スイートバック』がブラック・シネマの先駆けとなったと言う意味で映画史的に重要です。一般的には『黒いジャガー』(1971)や『スーパー…

デュ・モーリエ、孫娘とお爺ちゃん

ヒッチコックの映画『レベッカ』、『鳥』の原作者ダフニ・デュ・モーリエについては前から関心があったのですが、今回はテネシー・ウィリアムズの『ガラスの動物園』(1950)のアマンダ役にイギリスのミュージカル女優ガートルード・ローレンスが出演してい…

『熱いトタン屋根の上の猫』と序文の話 

Cat on a Hot Tin Roofはテネシー・ウィリアムズの1955年の作品で1958年にリチャード・ブルックス監督の手によって映画化されています。ポール・ニューマン33才、エリザベス・テーラー26才。 監督のリチャード・ブルックスは『プロフェッショナル』(1966年…

『ゴリオ爺さん』、下宿小説

こんどはバルザックです。フローベールを読んでいる時、訳者がフローベールはバルザックとゾラのちょうど間の世代なんですと言っていましたので。なんかラブレーを生んだ国の作家たち。英文学とは静けさとはちがい、過剰な豊饒な騒々しい世界で、これもまた…

『青が散る』、青春小説+テニス小説

1970年代から80年代にかけてテニス・ブームって言うのがありました。1974年~81年にかけてボルグが全英、全仏で、1979年~83年 にかけてマッケンローが全英、全米で優勝しました。『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』(2017年)が作られるくらいテニス…

反教育小説としての『感情教育』

フローベールは、実は国民兵として銃を持って革命に参加し、民衆による略奪をみたり、共和国宣言を聞いたりしたらしい。でもリアリストであるフローベールは、革命派でも王政派でもなく、一市民(そんな立ち位置があるのか疑問ですが)として、淡々と1848年…

『感情教育』、恋愛と革命

フローベール、1869年の自伝的な作品です。う~ん、イギリスの『人間の絆』とはちがうなぁ。まず恋愛が多い。主人公のフレデリック・モロー、18才から45才までの4人の女性との愛の遍歴というか。L’Education sentimentl のsentimentalはあのロレンス・スター…

現実を名指し、世界をつなぎとめる言葉

昨日の朝刊に出ていた哲学者の国分一郎さんのインタビューから。 「我々と世界をつなぎとめているのは言葉である。だから言葉が実際に起こっていることを名指さないようになると、我々は世界とのつながりを失ってしまう。」 首相は説明できない人だった。言…

団結の歌、「不屈の民」

ジョヴァンニ・ミラバッシの2001年ライブ、Dal Vivo! を買ったんですが、1枚目のSummer’s Goneがそれ程でもなかったのに、惰性?で買ったようで後悔?しつつ聞いていたらけっこういい。特に最後の曲がよかった。みると「不屈の民」というラテン・アメリカの…

挑戦?!

今年初めて挑戦したとうきび。順調に生育して、中耕(とちゅうで土を耕す)や追肥もやり。9月はじめにもいで食べてみました。茹でるのではなく蒸す方法で。美味しかったです。素人にもできる。2本目はまぁまぁ。3本目は2番目に美味しい。しかしその後が続か…

ガートルード・スタインの『3人の女』

富岡多恵子訳の『3人の女』は入手が難しいので、本家の『三つの物語』(光文社古典新訳文庫)に挑戦。と思っていたら、別の本を探しているときにまた本棚のすみに中公文庫の『3人の女』が見つかった。よかった。アマゾンで本の保存状態が「可」で1200円~2000…

フローベールの「素朴なひと」

なぜフローベールかというと、ガートルード・スタインの『3人の女』をはるか昔に授業で読んで印象に残っていました。それと基になったフローベールの『三つの物語』を比較しようと思ったのです。しかし『三つの物語』の1つ目の「素朴なひと」についてだけで…

Summer’s Gone

Summer’s Goneというアルバムの Summer’s Goneという曲を聴いて、「夏の終わり」の気分にひたっています。ジョヴァンニ・ミラバッシという50才くらいのイタリア人ピアニストのアルバムです。 イタリアのジャズ・ピアニストとして、アントニオ・ファラオはリ…

empathyとsympathy

『他者の靴を履く――アナ―キック・エンパシーのすすめ』というブレイディみかこさんの本の書評を読んでの感想です。 まずここで元英語教師の血というか疑問というか、定義の確認をしたくなります。とりあえず手元にあるConcise Oxford Dictionaryでempathyに…

文明の衝突と一人一人の死――米国同時多発テロに接して

3日間のナイアガラ見物を終えて9月10日(月)午後11時過ぎ、ニューヨークが嵐のため4時間近く出発が遅れてバッファロー空港(ニューヨーク州北西)を発った便は、11日(火)未明ラガーディア空港に着いた。その時着陸間際の飛行機の窓から見た夜景が、ツイ…