宮本輝とドン・プーレン

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一見無理やりな組み合わせのようですが、宮本輝の『水のかたち』(集英社文庫)にドン・プーレンとジョージ・アダムズのBreakthroughのSong from the Old Counryが出てくるんです。1986年のBreakthroughは邦題『ブレークスルー(ソング・フロム・ジ・オールド・カントリー)』となっているので、Song from the Old Counryはアルバムの代表曲。東京の下町に住む主人公は横浜で居酒屋を営む姉のCDのこの曲を聞いて「烈しいリリシズム」と的確な評言を述べています。

 主人公の友人はジャズ・ボーカリストで、重要な登場人物の一人ですので、ジャズの事が出てきます。それ以外にハービー・ハンコックCantalope Islandがいいとか出てくるんで、この時期作家はジャズに親しんでいたのではないでしょうか。

 1995年に54才でなくなったドン・プーレンの若いと時と40代、50代の写真を比較すると、年を取っていい顔になってきているように見えます。逆よりもいい。若い時の少しギラギラした顔が、古武士のような余裕と力のある顔になった事がその表情が写真からうかがえます。その事もこのブログで何度も書いているので、よほどドン・プーレンが好きなんですね。他人事みたいに言っていますが。

 それで?ドン・プーレンのジョージ・アダムズとの共演盤と、チャールズ・ミンガスのグループのピアニストだった1971~74年の4枚のアルバムのうち2枚を購入。

 話は宮本輝と『水のかたち』から離れましたが。もしかしたら次にでも。