ジェイソン・ロバーズ、渋い・・・

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何人か女優や俳優について書いていますが、ついたくさんの出演作を紹介しようとして総花的になってしまった。作品を絞って書くことに。

 僕がジェイソン・ロバーズを発見したのは『墓石と決闘』(1967年)です。俳優45才の時。ワイアット・アープの友人ドク・ホリディ役。アープ役のジェームズ・ガーナーは髭をたくわえて引き締まっています。実は監督のジョン・スタージェスが、自作の『OK牧場の決闘』(1957年)についてワイアット・アープがバート・ランカスター、ドク・ホリディがカーク・ダグラスでスターの格好いい西部劇でしたが、どうも史実的に満足しなかったようです。『墓石と決闘』のアープは兄弟の復讐に保安官の地位を利用するような振る舞いをする。またそれを批判するドクの存在も映画中で描かれ、よりリアルになっている。最後に入院しているドクを見舞うアープがいい。

 スタージェス監督は『ガンヒルの決闘』(1959年)、『荒野の七人』(1960年)、『大脱走』(1963年)と50年代後半から60年代前半にかけてヒット作をたくさん作っています。僕は『ガンヒルの決闘』が印象に残っています。札幌の有楽地下か松竹系の2番館でみた記憶が。カーク・ダグラス(保安官)が友人アンソニー・クィンの息子がダグラスの妻(インディアン)を凌辱して殺した復讐をしにクィンの牛耳る街にやってきます。それが馬の鞍を持ちながら列車で乗り込むんです。そしてついた街の厩舎で馬を借りる。鞍は自分のものを使うのと列車の普及とが描かれていて面白かったです。

 1970年サム・ペキンパ監督の『砂漠の流れ者/ケーブル・ホーグのバラード』はジェイソン・ロバーズ唯一の主演作かも知れませんが、パス。

 そして『大統領の陰謀』(1976年)の編集主幹役のジェイソン・ロバーズがよかった。これはアラン・J・パクラ監督で、ウォーターゲート事件をスクープしたワシントン・ポストのウッドワードとバーンスタインダスティン・ホフマン)が主役です。でもある程度事件について知らないと分かりずらい映画ですね。

 社会部長にジャック・ウォーデン、編集局長にマーティン・バルサムなどしぶい脇役俳優がそろっています。

 最後にジェーン・フォンダの項でもふれた『ジュリア』(1977年)。ジェイソン・ロバーズ55才、ジェーン・フォンダ40才。ダシール・ハメットリリアン・ヘルマンを演じます。ジェイソン・ロバーズの写真をいろいろと見ていると細長い馬面で貧相?なんですが、髭をたくわえてしぶい中年になっているんですね。若い時にハンサムで、つまらない中年になっている俳優よりずっといい。

 リリアン・ヘルマンダシール・ハメットダッシュと愛称で呼ぶ場面がいいです。ここはリリアン・ヘルマンではなくて、ジェーン・フォンダの顔と声で想像してみてください。

 さて最後に、ジェイソン・ロバーズはボギーを亡くした後のローレン・バコールと10年近く結婚していました。息子のサム・ロバーズも俳優をしているようです。ハンフリー・ボガートとジェイソン・ロバーズ、一見風采の上がらない中年に見えるけれど、渋くて味がある点では共通しているかも知れません。