ポラック監督 + レッドフォード

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シドニー・ポラック監督 + ロバート・レッドフォード主演の作品、けっこう多いんです。『雨のニューオリンズ』(1966)、『大いなる勇者』(1972)、『追憶』(1973)、そして『コンドル』(1975)、『出逢い』(1979)、『愛と哀しみの果て』(1985)の計6作。

 監督とスターの共通点というと、適度の社会性・政治性、そして語り口のリアリズムと娯楽性のバランスかな。その中では『大いなる勇者』、『追憶』、『コンドル』、『出逢い』好きですね。

 ポラック監督のレッドフォード以外の作品では、『ひとりぽっちの青春』(1969、They Shoot Horses, Don’t They?)と『スクープ悪意の不在』(1981)かな。They Shoot Horses, Don’t They? はホレス・マッコイの1935年の『彼らは廃馬を撃つ』が原作で、大恐慌下のアメリカ社会のひずみをハードボイルド・タッチで描いた。

 『雨のニューオリンズ』はテネシー・ウィリアムズの原作。原題はThis Property Is Condemned。『財産没収』という一幕物です。なんと脚本がフランシス・コッポラが27才の時。僕は中学生の頃、たぶん兄が貸本屋で借りた『映画の友』でナタリー・ウッドとレッドフォードのスチル写真を見た記憶があります。

 『大いなる勇者』はJremiah Jhonson (原題)という伝説の人物をもとにした西部劇で、僕は好きです。ジェレマイア・ジョンソンは妻をクロウ族に殺されたので、復讐にクロウ族の男をたくさん殺したが、最後は和解したという話です。映画でも白人とインディアンの対立と和解の物語が描かれる。ひげだらけのレッドフォードがいいです。特に美人女優も出ないし。

 『追憶』は大学時代からハンサムでヒーローだったレッドフォードと結婚したバーブラ・ストレイサンドが、マッカーシズムを機に体制に迎合する夫と意見を異にして離婚するんです。何か美人でないバーブラが離婚後も自分の信念を曲げない姿勢に共感してしまいます。マービン・ハムリッシュのThe Way We Wereがいい主題曲なんです。

 『コンドル』は僕の好きなポリティカル。ミステリー。ニューヨークにあるCIAの外郭団体で世界の雑誌や書籍の情報を分析しているデスクワークの情報局員のような仕事です。これは一種の巻き込まれ型のミステリーですが、もともとCIAのあるセクションなのでまったくの巻き込まれではない。現場の工作員の経験がない職員が危機に瀕して、どのように組織と戦っていくかが見どころになるのかな。

ポラックってうまい監督ですし、レッド―フォードもハンサムである事を表面に出さない役柄に興味を持つ点も知的でいいかなと。『追憶』では逆にハンサムで仲間に好かれる脚本家なのですが、バーブラの一貫した生き方に敬意を払う点が見ていて気持ちいいです。負けたのは僕だよと認めている。見ている僕もあんた(レッドフォード)の方が負けんたんだよねと思いました。

 『出逢い』は『裸足で散歩』(1967年、Barefoot in the Park)で共演したジェーン・フォンダと再び。43才と42才の素敵な中遠の共演でした。最後のカーボーイではないけど、ロデオの元チャンピョンがシリアルのCMのために電飾ついた衣装を着せられThe Electric Horseman(
原題)になってしまいます。取材するジェーン・フォンダはもちろん最初は自分のキャリアが大事で仕事を進めるけれど、次第に自然や古きよきものの価値を理解するようになっていく。

 そんなにレッドフォードのファンではないけれど、髭のレッドフォードはけっこういい。『明日に向かって撃て』(1969年)、『大いなる勇者』、『出逢い』など、甘い顔が適度にひきしまっていいのかも。