2022-01-01から1年間の記事一覧

メッセージのシンボルとコンテンツ

石原千秋さんの『誤配で読み解く近代文学』を再読していて、あとがきで気が付いたというか教えられた。 メッセージは送られた事に意味があって、内容は関係ない。メッセージはシニフィアン=記号。コンテンツはシニフィエ(意味されるもの)。「盗まれた手紙…

「手紙が宛先に届くかどうか」の問題

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』を読んでいて、研究的な志向が甦って?しまったようでしつこく書いています。前項の最後、オスカーが退行的にも過去への逃避にも見えるのは、ジジェクというかラカンの言うところの「夢の世界の方が現実界」で…

会議が4時間?!

土曜の夕方、代理で参加している委員会がZoomで開催。Zoomの会議は支部で何度も経験しているのですが、今度は本部の委員会で自分の画像がZoomに出ない。あせりましたが、声は出るので了承してもらいました。20数名いる参加者のうち、顔が出ないのは僕だけで…

「鍵」の「誤配」の物語

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』再び。 大好きなお父さんが9.11で亡くなった後、オスカーは父のクローゼットを探していて、青い花瓶を落として割ってしまいます。そこにはブラックと書かれた封筒があって中に鍵が入っていました。 鍵はそれが…

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』反復する物語

映画を見た後、原作に挑戦。けっこう長くて(翻訳で500頁ちかい)、けっこう難しい。でもユーモラスな部分が多いので、悲惨な話、つらい話も読めます。いろんな実験的な試みも。 9.11に対置する悲劇として祖父のドレスデンの爆撃経験も重要な役割をしめてい…

花粉症、昔話、ジャズ・ヴィブラフォン

今朝は半年ぶりに眼科。今年は特に花粉症がひどいです。眼科医もそう言っていました。その後3週間ぶりに街に買い物。昨日は11日間も続けてテニスをしていたので休養しようと思ったのですが、元の職場の元のテニス仲間から誘われたので、またテニス。いつもの…

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』喪の作業と成長

2011年のこの映画は、2001年9.11が大きなテーマで、ジョナサン・サフラン・フォアという作家の作品が原作です。フォアというユダヤ系の作家の25才の時のデビュー作『エブリシング・イズ・イルミネテッド』(2002年)はベストセラーになりました。翻訳だけで…

編集委員会、小谷真理さん(とご主人)

北海道支部の委員の代理で本部の編集委員会に1年だけ参加しています。もちろん70才になる委員はほかになくロートルなので目立たないように。 書評する本の選択について原案が出て、来週Zoomの委員会です。その間、論文の締め切りも終わり査読担当の論文もメ…

管理人、漫画論

土曜の夕刊の1面に「本の街に141年 いったんさよなら」と大きな見出しが。「いったん」というのは「三省堂神保町本店 一時閉店」とあるから、また戻ってくる。でも今のようではなくなるかも。 実は三省堂は、そこが目的と言うよりも待ち合わせの場所。須田町…

テニス・コートでの雑談

中一の少年(12才)のはなったサービスが、前衛を守っている80代後半のパートナーの後頭部にぶつかった。お爺さんは怒って帰った(らしい)。この人(仮にAさん)は、ネット際で動かず、ネットの向こう側の対戦相手は、ボールをぶつける訳にもいかず、ポイン…

漱石作品、仲働き他の女性の職業

前に『門』(1910年、明治43年)で、中下級の公務員の夫婦に女中がいる生活について、現代の感覚からいうと少し驚いた事についてブログでふれました。 また漱石を読んでいて、『彼岸過迄』(1912年、明治45年、大正元年)を読んでいて、主要登場人物である須…

15000歩の花見

4月30日は快晴でした。少しテニスをした後、かみさんと盤渓バスに乗って真駒内へ。 敬老パスでも盤渓バスに乗れるのですが、その手続きが面倒で使わせない魂胆?か。敬老優待乗車証(以下、敬老パス)を郵便局にもっていって、カードにチャージされている1万…

監督の文才、俳優の演技

山の手コートが強風なので、うちの方のコートに移動してテニス。 その前に学会の提出物を出す。学会誌で書評をする本を事務局が作ったリストの中から選定するのです。評価とコメントを書くのに2週間ほどかかる。また図書館にもないものは自分で買いました。…

『若者たち』

『若者たち』の佐藤家三男の山本圭が亡くなった。前項のジャック・ぺランと1つ違いです。1966年放映と言うから僕が中学生の時だけれど、引っ越した後の高校の時に見た記憶があります。ブロードサイド・フォー(黒澤久雄)のテーマ曲も覚えています。高校の時…

ジャック・ぺラン、永遠の美少年

朝刊にフランスの俳優ジャック・ぺランが80才で亡くなったと報じられていました。 一般には『ニューシネマ・パラダイス』(1989年)の成長し映画監督となった主人公のトトを演じた事で知られていると思います。僕は1967年の『ロシュフォールの恋人たち』での…

図書館、テニス、戦争

先週は北海学園の図書館で相互貸借サービスを利用して4冊の本を受け取りました。やっぱり4冊とも所有している北星学園から借りたものでした。その後のランチの話は省略して。でも安くてうまいのでいつ行っても混んでいます。 火曜日にコートの雪は解けて、…

『海街diary』、コマという手法

映画を見た後、つい原作(漫画)にも手を伸ばして。 前にも書いたけれど、僕が20代の学生・院生の1970年代「花の24年組」と言われた昭和24年生まれの女流漫画家が輩出して、学部の仲間と読んだり、話題にしたものでした。竹宮恵子(『テラへ』)、萩尾望都(…

女優本、コンセプト/ストラクチャー/アプローチ

たまたま2冊の女優に関する本を読みました。一人は 淡島千景(1924‐2012)。小津安二郎の『麦秋』で関心を持ちました。もう一人は中原早苗(1935‐2012)。こちらは深作監督の奥さんという事と、日活時代を中心に様々な映画に出ていて、俳優や監督について正…

『警察日記』、またしても孤児

森繁久彌主演の会津の田舎の警察署の物語。久松静児監督の1955年(昭和30年)作品。 映画公開は戦後10年たっていますが、時代設定は戦後まだ間もない時期。捨て子の引き取り先を巡って、孤児収容所や保健所が引き取らない理屈をひねり出す官僚主義というかお…

『海街 diary』、やっぱり孤児の物語

2015年の是枝裕和監督の作品。あの吉田秋生の漫画が原作。綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずが4姉妹を演じ、鎌倉が舞台。 冒頭で10数年前に家を出た父親が山形で死んだとの連絡が入り、3姉妹が葬式に出向きます。そこで異母妹のすずと出会い、「鎌倉…

3月最後の日

月曜は学会の編集委員会で依頼された書評対象書籍の選定の分担分5冊をアマゾンで注文したのですが、やっぱりもったいないと考え直してキャンセルしました。そして昨年の7月から8か月ぶりに元の職場に顔を出しました。 大学の図書館で別の大学から取り寄せて…

またいろいろと

最近アン・タイラーを読み直して、またそれについて書こうと画策?して挫折。もっと気楽に書けばいいのに。何冊か読んでやっぱり面白いなぁという部分と、同じような事を書いているなぁという飽き?もあり。作家の風貌はなかなかチャーミングです。僕より10…

『ファーゴ』と不条理

2021年9月30日のブログでフランシス・マクド―マンドについて書いているけれど、代表作の『ファーゴ』(1996)は見ていませんでした。正直に言うと。デビュー作の『ブラッド・シンプル』(1984)と『ミシシッピ・バーニング』、『あの頃ペニー・レインと』(2…

いろいろと3月

何かアメリカ文学、映画、音楽で気の利いた事を書こうとすると筆が止まるのかも知れません。 先週は誕生日でもあったのですが、1か月に1回の通院の前で薬が切れて少しつらかった。薬で生かされているようで情けない思いと、薬があれば大丈夫?とほっとする…

バック・ヘンリー、俳優、脚本家、監督

小林信彦(氏)と芝山幹郎(氏)の映画本を読みながら、いろいろと勉強をしたり、昔見た映画を思い出したり。そんなで70才になりました。古希というのは杜甫の「曲工」という漢詩からきたフレーズらしいです。「曲工」は唐の首都長安の繁華街(ススキノのよ…

懐かしい映画音楽 その2

・『エクソシスト』(1974)/マイク・オールドフィールド 1973年マイクが20才の時のアルバム『チューブラーズ・ベル』をウィリアム・フリードキンが採用した。フリードキンは『真夜中のパーティ』(1970)、『フレンチ・コネクション』(1971)、そして『エ…

H末さんの個展訪問

北海学園出身で、その後大谷の芸術学部美術学科油絵専攻を修了したH末さんの個展を見てきました。 三越の香風園で花をアレンジしてもらい、大丸セントラル藤井の7階にある会場に向かいました。 すると久末さんはNHKのインタビューを受けている最中でした。そ…

今日から3月

24日(木)からブログを書いていない。「懐かしい映画音楽 その2」はまた後で。と言ってもそのまま書かない事もあります。書いていて、映画音楽よりも映画そのものついて語るようになってしまいがちだ。それと映画音楽について、ジャズやロックについて語る…

懐かしい映画音楽

またアマゾンの会員特典映像を見ています。今度は『素晴らしき映画音楽たち』(2017)。 知らなかった映画音楽の作り手もいて面白かったです。そしてつい自分の映画鑑賞歴について一言。分かりやすく年代順に。 ・『007/危機一発』(1963)/『007/ゴール…

ウクライナと世界の平和

アマゾンで『バンデラス ウクライナの英雄』(2018)を見ながら、ロシアの侵攻可能性と世界の平和についてつらつら考えました。 映画自体はまぁまぁでした。 2014年9月ウクライナ東部のドネツク州。政府軍と親ロシアの分離派勢力による衝突が激化するヴェセ…