バック・ヘンリー、俳優、脚本家、監督

   小林信彦(氏)と芝山幹郎(氏)の映画本を読みながら、いろいろと勉強をしたり、昔見た映画を思い出したり。そんなで70才になりました。古希というのは杜甫の「曲工」という漢詩からきたフレーズらしいです。「曲工」は唐の首都長安の繁華街(ススキノのようなものですね)の名前で、勤め帰りにいつも通って酒屋の付けがたまっているけれど、今日も行こうかな。だって70才まで生きる人は珍しいし、今のうちに楽しんでおこうと。8世紀に生きた47才の詩人の歌です。

 さて70年代の『天国からきたチャンピョン』について。ウォーレン・ベイティジュリー・クリスティ主演。当時実際に付き合っていたカップルで、僕はジュリー・クリスティが好きな女優でした。しかも66才の時の『アウェイ・フロム・ハー 君を想う』でも素敵なお婆さんでした。

 でややこしいタイトルの変遷について。『天国からきたチャンピョン』は原題がHeaven Can Waitで、1946年の『幽霊紐育を歩く』のリメークで原題はHere Comes Mr. Jordan。そしてこれはもともと舞台のHeaven Can Waitの映画化。つまりそしてそのリメークのタイトルに元の舞台のものを使ったと。つまり英語のタイトルは2種類で、それに邦題の2つのタイトルが参入して翻弄される訳です。

 でオリジナルの原題Here Comes Mr. Jordanは、主人公の天国への差配?をした天使が間違っていて、それを正すべく上司の天使ジョーダンが登場するという事のようです。

監督がベイティとバック・ヘンリー。脚本がベイティとエレイン・メイとロバート・タウン(クレジットなし)です。

   で共同監督と共同脚本のバック・ヘンリーについて。話は『卒業』(1967)に飛んで、こっちの脚本がバック・ヘンリー、監督はマイク・ニコルズで、先ほどのエレイン・メイと「ニコルズ&メイ」というコメディ・コンビを組んで、グラミー賞をもらっています。つまり、バック・ヘンリーとエレイン・メイとマイク・ニコルズが舞台つながりで、『卒業』と『天国からきたチャンピョン』の監督・脚本の共同作業につながっていくんですね。

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  バック・ヘンリーは『卒業』では、ベンとミセス・ロビンソンが使うホテルのフロント役。しかも何度もふれているあの『グロリア』ではマフィアの会計係をしてFBIに密告して家族が殺されてしまう役です。あちこちに出ている。