・『エクソシスト』(1974)/マイク・オールドフィールド
1973年マイクが20才の時のアルバム『チューブラーズ・ベル』をウィリアム・フリードキンが採用した。フリードキンは『真夜中のパーティ』(1970)、『フレンチ・コネクション』(1971)、そして『エクソシスト』とヒット作=傑作を次々に発表していた30代の監督でした。プログレッシブまたは前衛的なロックを悪魔払いの物語に使うのは、ある意味で理にかなっているようにも思えます。チューブラーズ・ベルという金属製の打楽器の繰り返される音が次第に、脅迫的に悪魔的に聞き手に迫ってくるからです。
・『ゴッドファーザー PART Ⅱ』(1974)/ニーノ・ロータ
音楽もPART Ⅰでは甘かったけれど、PART Ⅱではもう少しニュートラルな、郷愁的な音楽になっています。PART ⅡがPART Ⅰよりも優れていると言う稀有な例だと思います。息子の洗礼式と義理の弟の暗殺と、ライバルの粛清を同時に、かつ対位的に描写する外連(けれん)。コッポラの力業が楽しめます。マイケル(パシーノ)の非情さも。PART Ⅰでは安泰だったファミリー(血族とマフィアの両方)が次第に崩壊していくプロセスの描写もすごい。
・『チャイナ・タウン』(1974)/ジェリー・ゴールドスミス
なんとノワールの例として論文にも書いた名作。最後にジャック・ニコルソンの目の前でフェイ・ダナウェイ
が銃で撃たれる場面でも音楽もいいです。フェイの父親を演じたジョン・ヒューストンの悪役ぶりも堂に入っ
ています。
ジェリー・ゴールドスミスは60年代ジェームズ・コバーンの『電撃フリント』のような軽妙なスパイ・コメディから、『墓石と決闘』(1976)のような重厚な西部劇まで幅広い。ペキンパ監督でジェーソン・ロバーズ主演の『砂漠の流れ者』(1970)やジョン・ミリアス監督でショーン・コネリーとキャンデス・バーゲンが共演した『風とライオン』(1975)もよかった。
・『ジョーズ』(1975)/ジョン・ウィリアムズ
監督のスピルバーグよりは15才ほど年上のジョン・ウィリアムズは、この後も『未知との遭遇』、『E.T.』 ,『インディ・ジョーンズ』、『ジュラシック・パーク』とずいぶんと共演しています。『ジョーズ』ではサメが登場?するときのズン、ズンというサウンドを覚えています。音で恐怖感を掻き立てる手法がうまい。それと水中の恐怖と言う意味では、『プライベート・ライアン』(1998)での、冒頭のノルマンディー上陸作戦のオマハ・ビーチで連合軍兵士が待ち伏せたドイツ軍に攻撃される場面が凄惨でした。その海中での兵士の体や死体の様子も。
スタンリー・キューブリックの英文学(サッカレー原作)もの。
映画よりもヘンデルの「サラバンド」というバロックの荘重な舞曲が素晴らしい。
・『グロリア』(1980)/トム・コンティ
2021/9/28のブログに詳しく書いていますが、家族を皆殺しにされた少年をかくまう決意のシーンの音楽がとても魅力的で印象的。トム・コンティはロッキー・シリーズやベスト・キッドの音楽も担当しています。