光と影

 一昨日の朝刊の1面に大江健三郎氏(1935~2023)が亡くなった事と、袴田巌さん(1936年3月10日生まれ)の再審開始の記事が出ていました。松山と静岡に生まれた1才違いの人生の光と影に思いをはせました。

 袴田さんは僕より16才年上の、誕生日は1日ちがい。フェザー級のボクサーとして活躍しようとして挫折、故郷の静岡でみそ製造所に勤める。1966年に事件が起きた。この殺人放火事件は初動捜査、容疑者特定から問題があったようだ。でも中学生の僕はほとんど何も知らなかった。

 1980年最高裁で死刑確定。10年以上の拘禁反応と死刑確定のショックで精神状態がおかしくなったようだ。無実だとしたら、当然のことだと想像できる。誰でもおかしくなるだろう。大江健三郎は『同時代ゲーム』の頃。僕は疾風怒濤の院生時代を潜り抜けて、大学講師でのんびり?していました。

 2014年静岡地方裁判所が再審開始と死刑と拘置の執行停止を決め、50年ぶり?!に釈放されます。しかし、東京高裁が拘置の執行停止を取り消さなかったため、今なお死刑囚のままだそうです。

 そして今回3月13日東京高裁が再審を認める決定をしたのでした。

 88才のノーベル賞作家の死。87才の誕生日を迎えた容疑者?への3日後の朗報。でも上述のような状態でどのようにこの知らせを受けとめたのか。71才を迎えたばかりの酒とジャズと読書で余暇を過ごす退職老人には想像さえできない。