Wild is the Windのレトリックと魅力

 この曲について書こうと思いつつ、でも前に書いたなと気が付き、確認しました。するとけっこう詳しく、かつ今回初めて知ったと思った事もすでに書いていた。なんたる記憶の衰退と混乱。

https://seiji-honjo.hatenadiary.org/entry/20081213/1229136614 ← ここです(2008年12月13日)


 で違う観点からのブログがタイトルです。
 “Wild is the Wind”は学校で習う文法”The Wind is Wild”と少し違う。でももう少し上に行くと、かなり当たり前の倒置でもあります。それが歌詞を読むと、その倒置の理由がよく分かる。
 その歌詞の解読と、なぜこの曲が人気でよくカバーされるのかについて考察したい。

簡単に復習すると、映画『野生の息吹』(1957)の主題歌。「アラモ」や「北京の55日」で有名なティオムキンという作曲家の作品。ロシア帝国ウクライナという現在もっとも議論を呼ぶような出身地。

 で、最初はジョニー・マティス、その後ニーナ・シモンデヴィッド・ボウイ―のカバーが評判となります。他にランディ・クロフォード、ジョージ・マイケルなど。

 で歌詞はと言うと最初の4行で、だいたい言いたい事は表現していて、あとは変奏もふくめての繰り返しです。

 Love me, love me, love me, say you do

 Let me fly away with you

 For my love is like the wind, and wild is the wind

 Wild is the wind

  この求愛の歌の3行目がポイントで、2行目の'fly'からの連想で'wind'が出てくる。「私の愛は風のよう。風って激しいものだから。」

 Wildという事を言いたいためにwindを持ってくる。”Wind is wild.”ではダメと言うか、感情を表現するには不十分なのでひっくり返す。それで” wild is the wind”となるんですね。

 それと細かいけど、wildとwindがwで韻を踏んでいる。

 最後に魅力の一つに、歌い上げると言うよりも、つぶやくような歌唱になるメロディのような気がします。最初に聞いたデイヴ・パイクのヴィヴラフォンの演奏も下降するような、エントロピー的(ネガティブなエネルギー)な熱さと言うか、感情のこめ方が感じられて、とても好きでした。

 でも歌唱ではニーナ・シモンデヴィッド・ボウイ―の低音による抑えたパワーを感じさせるバージョンがベスト。他の歌手は抑えたつもりでもパワーが出てこない。

  写真は15年前のブログでたデイヴ・パイクのPike's Peakを使いましたが、今回はボーカルのベスト、ニーナ・シモン。この人のピアノはかなりいいです。クラシカルな伴奏を自分のジャズ・ボーカルにする技術とセンスがある。そのワイルド?な容姿も。