You’ve Got to Have Freedom、聞き比べ

 ファラオ・サンダース(1940-2022)の30代後半の代表作You’ve Got to Have Freedomは今でも、クラブ・シーン(よく分からないけど)で人気の曲らしい。酒を飲みながらジャズをかけて踊るのだろうか。乗りのいい曲でもある。フリーの部分とdanceableな部分とがうまくブレンドされている。

 僕の考えるspiritual jazzの宗教的な面と祝祭的な面との融合と関連している。精神と肉体の自由とも関連しているか。

 正規の?discographyでは4曲、そうでないハンブルグのライブの1曲を入れると5曲のバージョンがあります。例によって比較すると。

 ・1978年録音1981年発表Beyond a Dream, ノーマン・コナーズとのco-leaderまたは共  

  同名義 15分。

 ・1979年録音1980年発表 Journey to the One 6分。

 ・1980 Live at Fabrik Hamburg 1980.  

 ・1981年録音1982年発表 Live 14分。

   ・1987年録音1987年発表 Africa 10分。

 僕はLiveを聞いて好きなりました。冒頭のテナーのフリーキーなサウンドの迫力と、その後に来るジョン・ヒックスの端正だけれど力のあるソロ。そしてサンダースの味のある歌も。歌というか叫び声というか。これもフリーキーなサックスの音と合っているんですね。Theresa(テレサ)のライブと言われているようですが、テレサはレーベル名で、ライブの場所はロス、サン・フランシスコ、サンタ・クルーズと西海岸のツアーのようです。

 次にJourney to the OneLiveとはかなり違う明るくて開放感がある、聞きやすいサウンド。ジョン・ヒックスの端正なピアノのイントロ。ファラオの抑え気味の?フリーキー・トーン。何とその後に女性コーラス。そしてエディ・ヘンダーソンのフリューゲル・ホーンも知的でセンスのいいソロ。また出てくるファラオの荒々しいサックスもコーラスとピアノにマイルドに絡めとられて?いいような、どうも物足りないような。ハッキリ言って物足りない。でもこれが元の曲というか演奏だった。

 その次はBeyond a DreamではCasino Latinoという名前で出ています?最初はこのタイトル。時系列的にこれが元の元の曲です。けっこうラテン・フレーバーのあふれるワイルドな演奏です。

  さてベースがいいなぁと思ったらアレックス・ブレイク。札幌でマッコイ・タイナーのライブで聞いた。やっぱりコルトレーン・グループのジミー・ギャリソンのようにベースをギター的に弾く。それとピアノのボビー・ライルもいい。サックスはもう一人いてバジー・ジョーンズという人。時々区別がつかなくなく。最後はサンダースの歌ではなく、叫び声、そしてパーカッション。この時代のフレーバーだ。

 Africaの1曲目のYou’ve Got to Have Freedomもいい。これも出だしはファンキーで調子がいい。後半少しバラード風というか。コルトレーンへのオマージュというか、2曲目のNaimaにつながるような静かな終わり方。スタジオ録音ではこんな風にファンキー(祝祭的)~フリーキー(フリー的)~スピリチュアル(瞑想的)なブレンドというか、そのような構成が多い。

 この時点では3番目のハンブルグのライブはアマゾンで注文したけれど届いてはいません。「この曲の1番の演奏。ファラオだけでなくピアノのジョン・ヒックスも完全にフリー・ジャズ」という感想もあり。楽しみです。

 サンダースについては音楽は好きになったけれど、アルバム・ジャケットは・・・

 で写真はいま勉強中のデュフィの「モンソネスの私たちの家」。涼しげでいいです。