遅めの追悼、ファラオ・サンダース

9月に82才で亡くなったファラオ・サンダースについて。

 10年前の2012年までほとんど聞かなかったミュージシャンです。spiritual jazzについて考えていた時に、もちろん以前から知っていて遠ざけて?いたファラオ・サンダースBlack Unityを聞いてはまってしまった。たぶん40~50枚あるアルバムのうち半分くらいは持っているのではないかな。

 このブログで13回、前のブログで11回もふれていたファラオ・サンダースの特徴を箇条書きにしてあげてみよう。

 

ジョン・コルトレーンの弟子筋と言うか、弟分。兄貴が真面目にフリー・ジャズも含めてジャズの未来について試行錯誤をして命を縮めたのに対して長生きをしました。

コルトレーンがジャズのスピリチャルな、霊的な、聖的な部分への掘り下げが十分な成果を上げたのだけれど、スピリチャルには祝祭的な部分もあって、そこに至らない点がコルトレーンの限界だったと思います。

・で弟的なサンダースは能天気に、気楽に兄が心血を注いで達成したspiritual jazzの祝祭的な方向の展開に進んで成功したと思います。結果的には兄と弟でspiritual jazzについての全体的な表現において補完しあったと考えてもいい。

・でその後のサンダースは、ファンクやアフロ・ビート的な、フュージョン的な演奏やアルバムもあって、興味深い。楽しいのもあれば、これはちょっとと言うのもある。

・でもミュージシャンはあるジャンルから出発して、ノン・ジャンルというか自分の個性ややりたい音楽をやる権利や自由もあっていい訳です。ジャズ・ファンはジャズ・ミュージシャンがジャズ的でない音楽をやると裏切者とか思ってしまう傾向がある。自分の好きなジャンルが絶対的だと無意識に考えてしまうんですね。

ファラオ・サンダースは、自分の好きな音楽をやって、ファンに愛されて幸せな人だったと思う。その時に、同時に求道的で禁欲的で孤高の人生を歩んだコルトレーンについても考えてしまう。

 

 写真は1981年のサン・フランシスコでのライブ。1曲目のYou’ve Got to Have Freedomが怒涛のサックス、ファラオの歌声、最後のメンバー紹介まで熱い。これがクラブ・ジャズでも好まれているようでうれしい。これは1979年のアルバムJourney to the Oneでは6分の演奏でした。それがライブでは14分強。しかもさらに前年の1978年のノーマン・コナーズ(ds)との共作アルバムBeyond a DreamでのCasino Latinoという曲がYou’ve Got to Have Freedomの原型的な演奏で面白い。タイトル通り少しラテン・フレーバーがただよう。