『ナイン・ドラゴンズ』(2009)を何回目か、4回くらいは読んでいるだろうか、読了しました。
避けていた理由は(これから読もうと思っている人は飛ばして下さい)、香港で娘と住んでポーカー・プレーヤーとして暮らしをたたていた、あのボッシュの元妻の、元FBI捜査官の、エレノア・ウィッシュが後半の最初の方で撃たれて亡くなってしまうからです。
ロスで中国人の経営する酒販売店で老店主が撃たれて亡くなり、中国系の犯罪組織三合会のみかじめ料をめぐるトラブルだとしてボッシュたちが捜査をはじめます。三合会の組員?を容疑者として尋問をすると、香港に元妻と住む娘マッズが誘拐された画像が届きます。
ボッシュは急遽香港に飛び、エレノアと中国人の男サンイーと娘を探します。その最中、犯罪組織とは別のボッシュの金をねらった強盗にエレノアが間違って撃たれてしまう。その打撃にもめげず、ボッシュとサンイーは娘の居所を突き止め、救出し二人はロスに戻ります。
実はマッズは母親を驚かすために友だちとその兄と共に嘘の誘拐劇を演出しますが、その兄の方はマッズを臓器売買の組織に売り飛ばそうとしたようです。
そのいたずらのつもりで始めた誘拐劇が母を死なせる羽目になり、ロスでボッシュと暮らすマッズの精神的な立て直しと初めての父と娘の暮らしぶりが後半のテーマの一つ。
それとロスでの店主殺害の犯人は意外にも、経営方針で対立した娘と息子による家族の悲劇だと判明します。
でもボッシュの強引な(いつでもそうですが)な捜査と、香港での銃撃などのアクションが目立ち、ボッシュや娘の心理的な葛藤や、痛みや救済などについてはどうも表面的な描き方にしかなっていないような気もして。
で父としてのボッシュがこれから作品では出てきます。これがいい味と、そうでない要素にもなるんですね。
元妻と暮らす娘が誘拐され、離れて暮らしていた父親が探す物語としては、リーアム・ニーソンの『96時間』(2008年)があります。大筋はけっこう似ているけれど『ナイン・ドランゴンズ』の方が先です。仏米合作で脚本はリュック・ベッソン。アクション映画は得意かもしれないけれど、パクリも平気でやりそうにも。けっこう人気があったようで、第2作『リベンジ』、第3作『レクイエム』が作られ、ここで元妻が殺されてしまいます。
ちなみに「ナイン・ドラゴン」は香港の九龍(カオルン)で、コナリーは取材のために初めて香港に行ったようです。