ボッシュとウィッシュの再会、そして

  未読に方には申し訳ないけれど、筋書にはふれていませんが?結末について書いています。

 『トランク・ミュージック』です。1997年発刊で、翻訳が1998年なので相変わらず速いです。そんなに需要があったのでしょうか。『ラスト・コヨーテ』の続編で、ボッシュ・シリーズ第5冊目。

   タイトルのtrunk musicは組織犯罪界?のスラングで車のトランクに捨てられた死体を意味するようです。同じ言葉がヒップホップでは、売り出し前のラッパーが自分のCDを車のトランクから出して売る事を言うようです。50センツもエミネムもそこからはじめたと。

 さて物語は殺人課に戻ってきたボッシュ。仲間は元相棒の黒人男性エドガー、黒人女性刑事のキズミン、そして白人女性警部補のビレッツ。けっこうカラー・ブラインドなコナリーさんです。白人だけ、男性だけという登場人物ではなく、人種やジェンダーを意識した配役だという事です。それとボッシュは3級刑事なので、エドガー、キズミンのリーダーになって捜査を進めていきます。この「3級」は日本語の感覚で行くと、1級より下に感じますが、柔道や将棋の段のように数字が増えると上位になるのと同じように使われているよう。

 殺人事件の被害者が足しげく通っていたラスベガスに捜査のために出張したボッシュがミラージュで見たのは、あの元FBI捜査官のエレノア・ウィッシュだった。1作目の『ナイト・ホークス』で出会い、恋仲?となるが、銀行強盗に加担した罪で短期間服役した後、姿を消した。その後ボッシュは2作目の『アイス』で犯人の恋人のシルヴィアと、前作の『ラスト・コヨーテ』でもやはり捜査に出かけたフロリダでジャスミンという女性と出会い・・・けっこう恋多きボッシュ君ですが。

 でエレノアはラスベガスを離れて、ロスに移ってきて結婚します。しかも新婚旅行はハワイ。ボッシュも照れくさそう。前科のある者との交際がロス市警では禁止されているので、思い切って結婚したようです。ですが・・・次の『シティ・オブ・ボーンズ』では冒頭から、事件の連絡を受けるボッシュは、エレノアの行方を捜しているようで・・・前途多難なボッシュの結婚生活。