程の良さ

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  イギリスのミステリー作家コリン・デクスター(1930~2017)のモース警部シリーズを再読しています。

 関連して『推理作家の家』(南川大三郎、西村書店)も再購入して作家の家や書斎などの写真を楽しんでいます。日本の作家の『作家の家』、『作家の住まい』も。

 モース警部の生みの親はケンブリッジ大学卒業後、グラマー・スクールの教師、オックスフォードの委員会の初期などを務めて45才の時に『ウッドストック行最終バス』でモース警部を登場させて12作書き続けます。僕も頑張って?昨年か去年に全部取り寄せてモース警部の最後を見届けました。

 そしてまた最初の作品を再読していますが、何となく推理や警察のあり方、犯罪の暴力性など1970年代のイギリスの雰囲気を感じさせ、それはアメリカと違う、また直近の現代イギリスとも違うのんびりとした程の良さを感じました。作者自身の経歴、雰囲気もそうです。大学はエリートですが、その後の職業はそうでもないようです。それがいい感じに作品にも主人公の性格造形に出ている。

 でも独身のモース警部はアル中に近い酒好きで、下品ではないけれど事件関係者の若い女性とデートをするなど日本では考えられないほど、進んで?います。場所はウッドストックというオックスフォードの北隣の町で、有名なコッツウォルドにも接しています。オックスフォードは1983年にロンドンに初めて訪れた時に、在ロンドンの大学時代の友人とその幼い長男と行きました。その後1997年にはやはりロンドンに4カ月ほど滞在した時にかみさんとはオックスフォードよりもさらに北のストラットフォード(アポン・エイヴォン)にシェークスピアの生家を訪ねて行きました。ロンドンから1時間半くらいだったような。

 さて『推理作家の家』でのデクスターはいくつかの写真でパイント・グラスを持って、執筆の机の上にもワインのボトルとグラスがあり、また南川さんとのインタビュー―の後も近くの川沿いのパブで飲んだりと、いい意味で酒好きなのだなあと、そのグラスを持った小太りの体と笑顔を含めて感じました。