エバンス派のピアノ

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 CDをミュージシャンの苗字のアルファベット順に整理していくと、Zが少ないのが分かります。ジャズではZawinul, Zoller, Zetlin。ロックではZZ Topなど。

 DやEまたはMで始まるもの多いような気がします。

 ジョー・ザヴィヌルは『サード・ストリームの興亡』が間違って2枚もありました。ザヴィヌルはウイーン出身のキーボード奏者で、キャノンボール・アダレーのバンドで自分の作曲した「マーシーマーシーマーシー」というファンキーな曲が大ヒットしました。その後マイルス・グループを経て、ウエザー・リポートを結成。

 アッティラ・ゾラーはハンガリー生まれのギタリストで、来日した時にピアノの佐藤允彦と共演したアルバムを作りました。多分アナログ・レコードを持っていたような記憶があります。今、手元にあるのは『ジプシー・クライ』のCD。

 で前置きがだいぶ長くなりましたが、ピアノのデニー・ザイトリン。写真の『カセクシス』をジャズ喫茶アクトで聞いた記憶が、レコード・ジャケットをプレーヤーの上に飾ってあった風景まで鮮明にあります。その写真の顔がウッディ・アレンに似ているので、ユダヤ系に特徴的な風貌と言えます。

 ユダヤ系は医者多いのですが、ザイトリンも精神分析医でもあるジャズ・ピアニストです。最近『ライブ・アット・トライデント』をCDで買って、そのエバンス派とも言えるピアノを聞いています。

 左手の和音はエバンス的でもあるけれど、アドリブはけっこうアンダーステイトメントで、シングル・トーンで様子を見ながら、少しづつ盛り上げていく演奏スタイルです。でも、アーマッド・ジャマルのように分かりやすい、メリハリのきいた演奏ではなく、もう少し朴訥で知的な進め方と言うか。ベースがチャーリー・ヘイデンなので、オーネット・コールマンの「ロンリー・ウーマン」も演奏していますが、「キャロルのワルツ」や「スパー・オブ・モーメンツ」(時の弾み、ひと時の興)などが、同世代のエバンス派のドン・フリードマンの流麗な演奏とはまた一味違って、面白いです。

 トライデントは調べると、サンフランシスコの郊外のある保養地サウサリートにあるライブ・ハウスのようです。1983年に初めてアメリカに上陸?したのがサンフランシスコで、空港で乗ったタクシーの金髪のパンク・ヘアーの運転手(若い女性)と助手席に乗っていたボディ・ガード代わりの犬をよく覚えています。サウサリートにも行ってシーフードの料理を食べました。