ヨーロピアン・リズム・マシーンからフィル・ウッズに少しはまり、でもずっとアルト(サックス)では騒々しい?ので、テナー(ゲッツ)の暖かい音を聞いていました。特にチック・コリアのピアノが初々しいSweet Rain。そしてゲッツのアルバムも少し買い足しました。
でwikiでゲッツの履歴を見ると、なんとユダヤ系ウクライナからの移民2世。東欧でユダヤ系というとポグロム(主としてロシアのユダヤ人排斥)が有名ですが。まさにそれです。ロンドン経由でアメリカのフィラデルフィアに落ち着いたらしい。本名はスタンリー・ゲイツキー。名前からの文化的同化の例はたくさんあります。あのダニー・ケイもユダヤ系ウクライナ移民2世でダニエル・カミンスキー。チャールズ・ブロンソンはリトアニア移民でチャールズ・ブチンスキー。リトアニアの中のタタール人だと言うので遠くアジア系の血も少し入っているかも。メキシコ人やインディアンの役もありました。
さてゲッツは若い時から才能あふれるミュージシャンだったらしいが、未成年でバンド(ジャック・ティーガーデン)に入り、音楽で大人に伍すので生活もそうなる。つまり酒やドラッグにも手を染める。残念なことに27才の時に銃を持って薬屋に入り、半年服役。
その後ツアーで気に入ったのか、北欧に5年ほど滞在します。で1961年に帰って、翌年当時注目されつつあったボサノバを題材としたアルバムJazz Sambaをギターのチャーリー・バードと作って100万枚以上を売り上げ、ミリオン・セラーに。前にも書いたような気がしますが、ビーバップの喧騒?からクール・ジャズに。そのミニマムな音とボサノバが親和して一大ブームに。ボサノバとジャズの両方の宣伝になったような気がします。
さらにブラジルのギタリスト、ルイス・ボンファと『ジャズ・サンバ・アンコール』を作って、これもミリオン・セラーに。またさらにジョアン・ジルベルト、ジョビンと『ゲッツ/ジルベルト』を作り、グラミー賞を受賞。すっかりゲッツ≒ボサノバという印象です。暖かくてとてもいいですが、少し微温的、のんびりし過ぎかな。
サックスにあまり興味のない僕はチック・コリアが参加しているのでSweet Rain(1967)を愛聴しています。スタン・ゲッツはもちろんいいのですが、チック・コリアの作曲とピアノの才能があふれていて。その流れCaptain Marvell(1972)もアマゾンで注文。
1961年のFocusは有名なのでもっていましたが、ピアノのスティーヴ・キューンに期待したけれど、どうもストリングの伴奏が中心で、ゲッツがよくても何回も聞くになれない。1992年(没後1年)に出されたPeople Timeは15才年下のピアノ、ケニー・バロンとの共演盤。今回買いましたが、CD2枚です。60代のサックスと40代のピアノとデュオ。しんみりしていいですが・・・
僕はチックとの共演がもっと好きかな。やっぱりミュージシャン同士のインター・プレイがジャズのだいご味だと思います。ゲッツ/チックの前の個人的ブームの、フィル・ウッズ/ヨーロピアン・リズム・マシーンもライブの熱いインター・プレイがよかったのだと思います。