恋愛はツマラナイ?!

 標題については@ドラマではと補足します。つまり「恋愛はツマラナイ?!@ドラマ」では、または「ドラマに恋愛が出てくるとつまらなくなる」。もう少し説明すると「恋愛は描き方が難しい」。つまり恋愛はドラマチックだけど、下手に描くとセンチメンタルになり、ドラマのパワーフルな方向性をずらしてしまう。

 『ブギウギ』を楽しく見ていますが、スズ子と秋山に恋愛話が出現すると、弾みが沈んでくる。弾まなくなる。

 どうしてか。恋愛は楽しい。心がウキウキする。はずなのだがそれ以前に楽しく、ウキウキしているダドラマの主人公に恋愛がからんでくると主人公の表情に憂いが出てくる。ま、それはそれでいい場合もあるとは思うのですが。

 ドラマの弾みが恋愛によって失われる。主役の趣里の普通の顔がエネルギーに満ちて弾ける良さがポイント。でも愛する乙女の表情は普通のお嬢さんの普通の表情になってしまう。ドラマでなければそれはそれでいい。けどドラマでは観客を引っ張っていくパワーが足りなくなる。

 スズ子も男の人を愛して頑張ってねと言いたいが、ドラマのパワーが減じていくのは困る、ドラマの観客として。そうは言っても趣里のいろんな表情、特に反応がいいのが光る。松永の投げキスを手で取って?、「え、これ何?」と言うか「え、これを取ってしまったけど、いいのか?」という表情がとても面白い。

 後はダブル・テイクというよくお笑いで使われるテクニック。二度見とも言うらしい。最初は相手の言葉の意味に気が付かないで、少したって気が付く。その時間差のおかしみ。その演技・テクニックも趣里さんはうまい。前述のように反応がいい。運動神経も関係するかも。ダブル・テイクと関係するかも知れませんが、自分の発言や行動をちょっと経ってから見直す。驚く。自分をちょっと引いて客観的に見る/見直す作業、とでも言おうか。

 趣里の演技/表情を見ていると、引き出し(経験による演技の持ち駒?)も多いかも知れませんが、その場での反応もいいと思う。即興的な、想像力でセリフのバリエーションを追加できる。そんな風に俳優の演技について考えさせられる。