窓から室内へ

 マティスの「エジプト風カーテンのある室内」(1948)の主役は、アフリカ風のカーテンではなく、窓の外のヤシの葉です。全体の半分以上も占めているし。

 確かにエジプト風≒アフリカ風のカーテンはタイトルにもなっているし、全体の黒の背景の一部も構成していて準主役と言っていい。曲線と直線の幾何学模様の混在が、窓の隣で存在を主張しています。

 それと絵の下部にあるテーブルの上の果物(梨か)もそれなりに・・・

 でも窓の外から室内に侵入してくるようなヤシの葉の描線の濃淡2種の緑と青と濃紺?の迫力がすごい。窓枠の4分割も構成上きいていると思います。

 マチスは室内の絵が多い。そしてその室内には窓があって、外の世界とつながっている、広がりが意識される。そして室内が多い作品の背後には、荒涼とした外の世界への抵抗と批判が潜在しているようにも。第1次世界大戦もあったし。

 それ自体が現実から逃避しているとも取れるけれど、消極的でもそんな外の世界とは無縁の室内を描く事も批判になる。メルヴィルバートルビー(このブログを読んでいる人は分かる?)のように。もしかしてもっと軽やかに、のちのポップ・アートにもつながるスタンスかも。

 できれば8月20日まで開催しているマティス展に行ってみたい。