マティスの赤が中心の作品の自分なりの整理です。
1908年「赤い食卓」(赤のハーモニー)
1911年「赤いアトリエ」
1947年「赤い室内、青いテーブルの静物」
1948年「赤い大きな室内」
この4作です。
そして一番好きな「赤い食卓」(赤のハーモニー)はこれ。
「赤い食卓」が気に入った理由はその赤の色彩ですが、最初は「青のハーモニー」で依頼主の邸宅の食堂に飾るべく注文されたのが、青が気に入らず赤で塗り直したらしい。
それとテーブルと壁の模様が同じなので平面的に見えるのが欠点になっていない。これってなんだろう。透視図法を使い、立体的に描く従来のリアリズムを取り入れない野放図さ、それを自由と言ってもいいのかな。
マチスには「ジャズ」という作品もありますが、ジャズのような自由さをマチスの絵に感じます。
構図的には右の女の人と、左の窓の外の緑がアクセントになっている。
次に好きな「赤い大きな室内」がこれです。
テーブルと椅子と、別なテーブルの構図が動きがあって面白い。窓の描き方もグラフィティのような、ヘタウマのような、幼稚(プリミティブ)な、気楽さが面白い。前作と同様に、床も机も壁も同じ赤で立体的な描写をしない、でもそれがユニークな効果を出していると思います。
1980年代NYのストリート・カルチャーとしてのヒップホップの要素の一つ、グラフィティ(落書きです)のような、感覚的なコラージュの感覚をマチスに感じるのは間違っているだろうか。
ヒップホップのグラフィティは芸術をストリートで展開した、それまでの高尚/高級と低級/庶民的な枠組みを壊したポストモダンなものでしたが、マティスはそれをもう少し前からやっていたように思えて。それもマティスが好きな理由になるかな。
つまりジャンルを越境する、リアリズムを相対化する、高度な技術を持っていてそれを使わない手法も選択する。創造を前提とする破壊とでも言えるかもしれない。そして全体として、とてもポップ。ほとんどポップ・アート。