Shigeki-x君の方が勝っていた

 なぜかかみさんに一緒に見ようと言われたのが、ブレイク・ダンスのShigeki-x君のドキュメント。面白かったです。

 僕はミュージシャンでも自分の音楽を言葉にできる人が好きですが、Shigeki-x君もブレイキン(と今は言うんですね)についてちゃんと語れる。ブレイキンの置かれている状況、自分のブレイキンのスタイルについて、自分の言葉で語っていて気持ちいです。

 ただ番組的には、ヒップホップ文化におけるブレイキンの歴史と位置づけについて、もう少しふれてほしかった。暴力的な抗争をダンスのバトルに変えた背景について。1970年代の末のディスコ・ブームの終わり頃、ハウス・パーティからブロック・パーティに広がり、DJが音楽のつなぎに語り、音楽に合わせてダンスする若者の中でうまい者がみんなの輪の中でアクロバティックなスキルを披露するなど・・・

 タイトルは二つのバトルで、Shigeki-x君の方が勝っていたなぁという感想です。どうも40代のレジェンドのダンスも、アジア系カナダ人のクネクネしたダンスも、Shigeki-x君の自然な、スキルフルなダンスに負けていると思いました。

 何か「個性」が大事だって言うけれど、それが表現力にあふれた、美的なものだといいけれど、ただ「人と違っている事」だけだと、それはちがうなと。スキルを積み上げて、表現力を磨いて、その上でそのパフォーマーらしい特徴(個性?)が発揮できれば、それならいいけれど。

 でもこれってオリンピック種目になるとジャッジの基準をきちんとしないと難しいですね。それとヒップホップ文化ってNYのサウス・ブロンクスからうまれたストリート・カルチャーなので、あまりスポーツまたはアートの方向に行き過ぎないでほしい。