寿司屋のカウンター

 やっと、端っこでなくても座れるようになりました。ここまで40年近くかかった。

 気が小さいので隣に人がいると落ち着かない。それでできれば端の席を常に希望していました。

 と言うよりも、寿司屋のカウンターに座れるようになったのが40過ぎていたかな。と言うよりも、寿司屋のカウンターに座れるようになりたいとも思っていなかったかも。時代と言う世代というか、甥っ子は10才くらいから寿司屋のカウンターで堂々と注文して食べます。かみさんの姪も似たようなもんですね。

 就職した後は、月に一度くらいは寿司屋に行ける給料はもらっていた(と思う)。でもそんなに行きたいと思わなかった。行きはじめたのは、母が亡くなって、かみさんと付き合い始めたころ。彼女は札幌の人だったけど、大学は東京、就職は川崎(あの東芝です)、住まいは横浜だった。それで2月に1回は横浜に2年くらい通いました。

 横浜では、蕎麦屋とんかつ屋も行ったけど、「関内 次郎」によく行きました。あの「数寄屋橋の次郎」の小野次郎さんの一番弟子の水谷さんのお店。当時は一人4千円くらいから食べられました。その後は7千円くらいになったかな。でも40過ぎて、2月に一遍くらいならいいかなと。カウンターでお好みで食べていた人が羨ましたかった。その人は早川光さん。『江戸前寿司の悦楽 次郎横浜店の12か月』という本の著者です。

 その後、水谷さんは銀座に「水谷」を開店。同じ銀座で一度移動しました。どちらも数回行きました。引退したのが残念です。ひらめの昆布締めとエビをボイルしたのは美味しかった。それと蒸しアワビか。アワビは生では寿司ネタには合わないような気がします。シャリとアワビの固さが違い過ぎる。むかーし深夜までやっている居酒屋(天山)のご主人夫婦に円山の中華「サラダ・ニース」(だと思うんですが)と言うお店に連れて行ってもらった。そこで食べたアワビが最高でした。中国料理って干したものを戻す。海の恵みを太陽の光で干して旨味を閉じ込める。それを時間を経て戻してその旨味を出す。

 札幌では面倒な委員会の議長を務めた4年間、毎月1回の会議の後、ある寿司屋に行く事に。昼なのでビール1杯と日本酒1合だけ。なごみの時間でした。そこでもできるだけカウンターの端の席。できれば入り口とは反対側の。

 退職してからは、数か月に1回ほど大丸デパートの寿司屋さんへ。ここもカウンターの端の席を選んでいます。それが今回はカウンターの真ん中。いつも開店少し前に待って端の席を選びます。昨日は歯医者さんのあとで11時半ころ行きました。その時はどの席でもやむを得ない?と覚悟してました。

 で覚悟?をしていると気にならない。それも若い寿司職人さんが対応してくれたので、ベテランよりもこちらの気分が楽です。初めてのカウンターの真ん中でお寿司を楽しめました。もうこれでカウンターのどこでも大丈夫だ。

 写真はホタルイカの酢味噌かけ。お酒に合います。