追悼、ライル・メイズ

 パット・メセニー・グループのキーボードのライル・メイズは2年前に66才で亡くなっていた。1980年代はパットをよく聞きました。デビュー作の『パット・メセニー・グループ』(1978)は最初『想い出のサン・ロレンツォ』という少し恥ずかしいタイトルでした。『オフ・ランプ』が1982年。”Are You Going with Me?”というボッサロックの曲がいい。でもこのアルバムも『愛のカフェ・オーレ』というタイトルだったらしい。これが冗談みたいで、よくこんなタイトルを思いついてつけるものだ。でも”Are You Going with Me?”の方も小林旭みたいで・・・・

 『レター・フロム・ホーム』(1989)は、交換教員でカナダに4か月ほどいた時だったので、あまり深刻でない郷愁を感じながらCDを買って聞いていました。『ザ・ロード・トゥ・ユー』(1993)がCDを買った最後だろうか。いま西暦を記入しながら、最初の1970年代の終わりはLPの時代の終わり頃だったか。次第にCDに移行していった。

 パットはボストンのバークリーという有名な音楽学校の講師を若くして務めたのですが、なぜかボストンでタクシーに乗っていた時に、運転手とパットの話になり、町の誇りだというような事を言った事が記憶に残っています。いま思い返しても、ジャズ好きの運転手と巡り合った不思議。記憶を作っている?改変しているのかなとも思いますが、たぶん?そうではない。1983年、1989年、1997年、2001年のいつかだった。

 ライル・メイズは1枚くらいCDを持っているような記憶があるのですが見当たらない。でアマゾン1枚買いました。5枚くらいリーダー・アルバムがあるようです。でもパットのアルバムでも、キーボード(シンセよりはピアノ)のソロが何か所も記憶に残っていて、そのひとつが『ファースト・サークル』(1984)の”Tell It All”。イントロとパットのロマンティックなメロディーと少しファーアウト(アヴァンギャルド)なソロが印象的ですが、それをうけてのライル・メイズのピアノがとてもいい。直前のアップテンポのパットのソロのリズムから意図的にゆっくりとした速度に落として、対位的に演奏していると思います。そして少しずつ、バックのパーカッションのリズム合わせて速くなっていく。そのプロセスもカッコいい。いま書きながらアイフォンで聞いています。

 思い出せばソニー・ロリンズの『アルフィー』。3曲目の”Street Runner with Child”で、ピアノのロジャー・ケラウェーが同じような演奏をしていました。こちらも確認してみましたが意外と短い。という事は短くても鮮烈な印象を残したのでしょうね。他のトラックでもピアノがいい。アレンジはオリバー・ネルソン。

  写真はライル・メイズとパット(と他のメンバー)の写真を探しました。ライル・メイズはバンドの音楽ディレクター的な役割を担当していたと思います。でも写真の記事ではそういう内容ではありませんでした。またでもですが、他のメンバーの移動はあってもライル・メイズはずっといましたので、パットとライルのバンド的な部分はあったように思います。