オースター、再び

 

f:id:seiji-honjo:20210517095347j:plain


アメリカの作家ポール・オースター(1947年生まれ)についての発表の司会をする事になってしまった。

 たいぶ昔、正確には1994年に学部の教授の退官記念論集に『NY三部作』について書いたんです。忘れたいけど。その後2000年代にやはりオースターについての発表の司会をしました。最後は5年位前かな『幻影の書』に関する全国大会の司会もしました。で今度は久しぶりにオースターの司会と言う事で、やっと小津本から離れる事ができます?

 オースター本はすでに26冊あって、多くも少なくもないのですが、少し買い足して勉強する予定です。オースターは30代に小説を書き出して、それが注目され翻訳が出るのが1990年前後。それで僕は1994年にメタ・ミステリー≒メタフィクションという、いま考えればそう新しくもない視点で書いたのだと思います。

 1990年代に『現代詩手帖』(1993)や『ユリイカ』(1999)で特集したり、『現代作家ガイド1 ポール・オースター』(1996)が出ています。『現代作家ガイド』の編集は、上智飯野友幸さんで、2018年に支部発題の全国大会のシンポジウムに出てもらったアメリカ詩の専門家です。ブルックリンまで出かけてオースターにインタビューをしたようで、『ユリイカ』でも『ルル・オン・ザ・ブリッジ』のプロモーションに来日したオースターへのインタビューが載っています。

 そう言えば、飯野さんは菊池成孔の『東京大学アルバート・アイラー』にもブルースのレクチャーで出ていました。ルロイ・ジョーンズの『ブルース・ピープル』も訳していますし。ちなみに「ブルース」は「ブルーズ」でなくて「ブルース」でいいらしいです。向田邦子出身の実践女子大でのシンポが終わった後、他のメンバーは用事で帰ってしまい、青山のイタリアン(サバティーニ?)で二人で打ち上げをしました。

 だいぶオースターから離れましたが、そのうち発表する院生の人から連絡があると思います。写真は若くて格好いい時のオースター。現在は74才ですが、写真は30代の感じかな。ユダヤ系という事で中東のジゴロ?のような雰囲気もあります。

 少し読んでみたけれど、語る=書く事が本当に好きだと言うか、身についているというか、これって僕的にはユダヤ人の習性と関係があると思います。それとちょうどミニマリズムの終わり頃と、ポストモダン的なフィクションとの混交が始まりそうな、いいタイミングで登場したように思えます。