ストロークが長い

 

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 イタリアのジャズ・ピアニスト、アントニオ・ファラオ(1965~)を聞いています。どうして買ったのかよく覚えていないのですが、最初はBlack Inside (1999)。9曲目のDumb Showがいいです。「だんまり芝居」という事ですが、静かに盛り上がる。物語のパーツをエピソード≒フレーズとすると、それがブツブツとではなく切れ目なくつながって行くような弾き方に聞こえます。それがストロークが長いという説明になるのかな。つまり聞き手はずっと引っ張られて、物語(曲)の最後まで聞かされるんです、いい気分で。

 次にEncore(2004)も買うとこれがよかった。4曲目”I’m Lostがいい。それで次に買ったNext Stories (2002)。5曲目 Next Storiesがいい。何気なくCDをかけて本を読んでいる時も、Next Storiesのところでおやっと思っていい曲だと思って、本を置いてじっくり聞き直します。

 その特徴は前に少しはまったロベルト・オルサー(1971~)にも通じる。ロマティックなフレーズが甘さに流れず、そしてフレーズのストロークが長い。これはイタリア・ジャズ・ピアノの先輩エンリコ・ピエラヌンツィ(1949~)に遡るか。クラシックの演奏技術がジャズの即興性にうまく生かされているような。それでは説明にならないかも。

  Border Linesの(2000)はけっこう好きなダニエル・ユメールが残念ながらうるさく聞こえます。フィル・ウッズのヨーロピアン・リズム・マシーンのドラム。そしてヨアヒム・キューンのトリオでも、色彩感ゆたかなドラミングでしたが。Far Out(2002)はボブ・バーグ参加。Woman’s Perfume(2008)はキレイな演奏で可もなし不可もなしかな。