9.11の後

f:id:seiji-honjo:20200912062817j:plain


 思い出しながら書いていますが、9.11の後のアメリカと言うか直接的にはニューヨークですが、星条旗と国歌が氾濫していました。小さな星条旗を自転車に付けたり、Star-Spangled BannerとAmasing Graceもメトロポリタン美術館のコンサートでも必ず演奏されていました。

 土曜日の夕方、中2階のスペースで無料の4重奏団の演奏が聞けました。それが9.11以後は最後に国家が演奏され、多くの人は立ち上がって聴きます。僕らは座っていました。ところが立っていた白人のおばあさんが座ったままのたぶんヒスパニック系の若者たちに「あんたたちどうして起立しないの」と怒ったように言い、若者たちはしぶしぶ立ち上がっていました。

 即席の、少しヒステリックな愛国主義が広がってしました。初めてアメリカ本土が攻撃されて驚き、そして恐れ、それが怒りにつながっていったんでしょう。

 最終的には犯人と目されたリーダーが裁判~死刑という手続きなしに殺害されましたが、この人たちもアメリカが対ソ連のために訓練した後、見捨てたんですね。そんな事を繰り返しているアメリカ(国家として)について、イギリス文学~アメリカ文学アメリカ文化へと研究をシフトしていく中で知るようになってけっこうアメリカが好きでなくなりました。

 アメリカ文化って面白いけど、底が浅い。アメリカって若さを称揚するけれど、経験とか年齢による人生の知恵とかはあまり重視しない文化だなぁと、文学や映画、音楽を聞きながら考えてしまいました。

 大坂なおみが決勝に進出した全米オープン。19年前はヒンギスと躍進中のビーナス・ウィリアムスが戦っていました。チケットは85ドル、1万円弱だったか。会場のフラッシング・メドウズはマンハッタンから地下鉄でクィーンズに行って、最寄りの駅で降りたら全米オープンの会場と反対側はニューヨーク・メッツのスタジアムだったような。もう一人の松井が在籍していたような。「ような」が多い19年前の事です。