起き上がり小法師

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 『起き姫―口入れ屋のおんな』という文庫本を読んでいるうちにほしくなってアマゾンで買いました。大中小のトトロが可愛いです。

 小説中でも会津地方のお土産に買った起き上がり小法師が主人公の父親が元の奉公人にあげたとされているように会津の郷土の玩具で縁起物のようで起き姫ともいうようです。だるまと同じように中心部におもりをいれて倒しても起き上がるようにされています。何度たおしても起き上がるので「七転び八起き」の精神を象徴する物でもあるうんですね。

 杉本章子さんの『起き姫』江戸時代の職業紹介のお店を乳母から引き継いで、人と人とつないでお足を頂いて自立する出戻りの女性の話です。主人公の女性の七転び八起きでもありますが、紹介した奉公人や依頼した店側の七転び八起きや七転びしっぱなしのエピソードもあります。

 なぜか女流時代小説家の口入れ屋の話を連続して読みました。西條奈加の『九十九藤』(つづらふじ)と宇江佐真理の『口入れ屋おふく―昨日みた夢』です。西條さんも宇江佐さんもいい小説もありますが、口入れ屋の話に関しては杉本さんの小説がリアリティ、設定、エンディングなど面白い。

 西條さんと宇江佐さんは北海道出身で親近感を抱きます。ただ宇江佐さんと杉本さんはそれぞれ66才と61才で5年前に亡くなっています。女流の時代小説家としては、他に朝井まかて、梶よう子も読んでいます。女性作家としては侍よりも、園芸とか食べ物などが主題となり話も多くて、それもまた男性作家と違って面白い。

 昨年藤沢周平の文庫本をほぼ読んで、葉室燐に移りこれも文庫はだいたい読みました。少し物足りないので乙川優三郎~青山文平と少し文学的な方向にシフトしましたが、これだと読後感が重くて。今年の2月くらいから半年で120冊、1か月20冊、3日で2冊にペースで読んでいました。でもなかなか読後感を書けないのは、無理にテーマを絞ってまとめようとするからですけれど。