命の価値

f:id:seiji-honjo:20200704115644j:plain


 いま読んだ女流作家の時代小説(短編連作)。将来を嘱望される若い武士が火事で老女を助けて自分は死んでしまう。若い武士を誘った友人と助けられた老女(54才?)は誘った事と助けられた事を後悔する。老女(繰り返しがしつこい?かも)はあまり可愛げがなく、身寄りも少ない。それを木戸番の主人公夫婦の妻が犠牲となった命を無駄にしないためにも生き続けるように諭すという話です。

 この連作短編は吉川英治賞を受賞したようです。木戸番という仕事は別な時代小説でも出て来ました。木戸番の書き役、書記みたいな侍上がりの若者。木戸番は江戸の町々に設置された木戸の番をする。木戸は夜は閉じられ、不審者や犯罪者の逃亡を防ぐ目的でした。火の見櫓がそばにあり火事の時は半鐘を打ち、夜は拍子木を打って夜警もしました。番人は住み込みで独身が原則でしたが、江戸後期はそれもくずれてこの小説の様に夫婦で住み込みも。

 さて命の価値の問題は今回の新型コロナ・ウィルス禍でも露呈したように、今まであった格差・差別の状況がそのままコロナの死者や犠牲者の形で出現した。またスウェーデンの対応の様にロックダウンをしないで老人の死者が多かったのは、国民が老人も含めて無意識に老齢の者から先に死んでいくのを認めているように思えるのですが、どうでしょうか。安楽死のように死をある意味で合理的に考えている国の対応の様に思えます。

 さて平均寿命の分からない雀。初めてウッドデッキに置いた小さいバード・フィーダーから米粒を啄んでいました。可愛い。今カラスの巣立ちで縄張り争いのせいかうるさいですが、雀の方は巣立ったばかりの雀が勇敢に庭のあちこちに蒔いた米を食べています。雀は雀数もどのくらい生きるのかも科学的な統計がないので分かりません。でも目の前にいる雀には長生きしてねといいたい。