ゴボウの力

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  例えば豚汁はゴボウがいい味を出していると人(かみさん)は言うけれど、僕的には豚バラとならんでゴボウが主役だ。あと豆腐とこんにゃくも欠かせない。ジャガイモと玉ねぎはあった方がいいという程度です。写真のきんぴらごぼうは自家製ですが、最近のレシピの流れなのか、ゴボウを細く切るようになっている。料理屋の上品なきんぴらごぼうの影響なのか、ゴボウをばりばり食べる野趣がないような。

 きんぴらごぼう一つとっても、母、義姉、かみさんの実家、そしてかみさんの4種のレシピに、巷の流行も影響します。最近では細切りを湯がいてサラダにしたり、あまり長く水にさらさないとか、皮にあるポリフェノールが取れてしまうのでさっと洗うだけでむかないとか。北ノ沢蕎麦屋さんではから揚げだった。天ぷら屋ではゴボウの天ぷらもありました。

 ゴボウは漢字で牛旁、何か鈍重でユーモラスな。英語ではburdock。ユーラシア原産のキク科の多年草だそうです。ゴボウを日常の食材としているのは日本だけなので、太平洋戦争中に英米人捕虜が出されたゴボウを「木の根」だと食文化の違いによる誤解もあって、虐待されたと戦後になって戦犯の罪状になったという話は有名です。僕らの世代ではギリギリ知っているフランキー堺主演の『私は貝になりたい』でも出てくるエピソードです。

 ゴボウの土臭さが体にいいんだなと思わせるような。菜園で作業をするときは基本的に手袋をしますが、ときどき爪に土が入るのも気にしないで土に素手を入れると、その温かさや感触がとても心地いいです。匂いもいい。その土の中で育まれた根菜のパワー、特にゴボウの泥臭い見かけ、土臭い匂い、歯ごたえ、そして料理に貢献する味と栄養を考えるとけっこうすごい野菜だと思います。