ネヴィル・ブラザーズ、ニューオーリンズ、ファンク

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 Song around the worldのAll Along the Watchtowerで歌っていたシリルはネヴィル・ブラザーズの4兄弟の末弟。最近書いたJunco Partnersのジェームズ・ブッカー、アラン・トゥ―サンなど大物たちとセッションを重ねミ―ターズを結成し、ニューオーリンズを代表するファンク・バンドとして知られるようになった

 ネヴィル・ブラザーズとしては1978年The Neville Brothersでデビューし、1989年のYellow Moonの"Healing Chant"がグラミー受賞した。僕はこのファルセットのようなヨーデルのような、またはネイティヴ・アメリカンの唱法のような歌い方が印象に残っています。アルバム・ジャケットやスナップ写真でもインディアンの民族衣装を着ていたりして、黒人逃亡奴隷と先住民の交流が混血と文化に残っている事を意識しているような。Sister Rozaはバーミングハムでのバスボイコット運動のきっかけなり公民権運動に大きな影響を与えたローザ・パークスの事をラップ調で歌った曲で公民権運動を紹介する時にも授業で使いました。

 一般的にはメル・ギブソン主演のBird on the Wire(1990)のサウンド・トラックで知られるようになりました。曲自体はカナダのユダヤシンガー・ソングライター兼詩人のレナード・コーエンのBird on a Wire。この映画Bird on the Wireは監督があのSaturday Night Fever(1977)のジョン・バデムで、スティーヴ・ウィンウッドのHigher Loveが使われた『張り込み』(Stakeout、1987)もそう。

 ネヴィル・ブラザーズは 1990年のBrother’s Keeprもけっこう重要な気がします。「兄弟の番人」というのは聖書のカインとアベルの挿話に由来するものですが、僕はジョイスゴッホなどアーティストの弟が兄に尽くす例が分かりやすいかなと思っています。文化的に家族における兄弟の確執と愛憎と献身と。

 1992年には今度はスティーヴ・ミラー・バンドのFly Like an Eagleのカバーがヒットしましたが。 ニューオーリンズ自体がカリブ海に面していて、フランス領土であったり、文化の混血というよりごった煮的な場所でもあります、ジャズ発祥の地とも言われ、ケイジャン、ザディコ、セカンドラインなどの音楽でも有名ですし。

 写真は伝記の翻訳の表紙です。なぜかこの本も持っていて流し読みしました。急に思い出しましたが、2001年ニューヨークでテレビのCMにネヴィル・ブラザーズが出ていました。それも航空会社だったような。