Do the Right Thingの先見性か普遍性か

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  夕刊にスパイク・リーDo the Right Thingと今回の白人警官による黒人への暴力の類似性についてのエッセイがあった。と書こうとしたらまた(白人)警官による黒人(容疑者)への事件が起きました。今度は発砲・殺人事件。警官が黒人に手錠をかけようとしたら警官のテーザー銃を奪って逃げた。逃げる途中にテーザー銃を向けられたので発砲したとされたが、銃弾は背中に当たっていた。という事は逃げる無防備な容疑者を後ろから撃った可能性が高い。しかも今の状況では白人警官に手錠をかけられる事自体が黒人容疑者に前の事件を想像させて怖い気になるのが理解できます。

  確かに公民権運動の1960年代よりも前からの白人警官による黒人への暴行という現象があってStop Police Brutalityというプラカードを持って行進している映像を何回も見ました。それと黒人の若者のデモ隊への放水の場面も。白人専用のカウンターでSit-inをする黒人の若者に暴言だけでなく、飲み物をかけるバカな白人の映像も。マックス・ローチWe Insistのレコード・ジャケットはその有名な写真をアレンジしたものです。  

  Do the Right Thingでも白人警官による黒人への暴力が暴動につながるラスト・シーンになっていました。圧死というのがまた少し特殊で、銃とはまた違う残酷さがある気がする。そしてあまり好きではないスパイク・リーのこの作品のある種の先見性とこの差別と暴力の普遍性を感じました。

  フィラデルフィアに住んでいた時にワシントンに近いボルティモアに足を延ばしました。その列車(アムトラック)でスパイク・リーを見かけました。ボルティモアの大学に講演に来たとか。そう言えばペンシルヴァニア大学では大江健三郎が講演に来ていたので聞きに行って本にサインもらった事も。『万延元年のフットボール』の英訳本The Silent Cryでした。やはり講演というかセミナーに来たウンベルト・エーコの時には何故か出席しなかった。

  写真は『黒いジャガー』(1971)の監督しても知られる写真家のゴードン・パークスによる(らしい)。Stop Police BrutalityではなくPolice Brutality Must Goとなっています。Police Brutality Must Stopというのもありました。