ハリウッドと武漢

f:id:seiji-honjo:20200610111604j:plain


  少し奇をてらったタイトルですが、表現と思想・信教の自由という共通テーマのつもりです。

  昨日スター・チャンネルで『トランボ ハリウッドで最も嫌われた男』をちゃんと見ました。と言うのはいつものように時々切れ切れに見ていました。スター・チャンネルWOWOWで同時期に同じ映画を字幕と吹き替えで交互に放映しています。で昨日はかみさんと一緒だったので、途中で逃げる?事ができずに、説明や解説もしたりして。

 映画好きならだいたいは知っているし、ハリウッド・テンの事はブログ本でもリング・ラードナー・ジュニアの自伝『われとともに老いよ、楽しみはこの先にあり』についてふれました。最近は『拳銃魔』でもダルトン・トランボのブラック・リストに載っている時の偽名での脚本執筆についても。

 でもやっぱりちゃんと映画を見るといいですね。小さなまたは中くらいの発見が結構あります。トランボの奥さんクレオを演じたダイアン・レインがいいです。この女優は1979年『リトル・ロマンス』で13才の時にローレンス・オリビエと共演した子役(スター)。でも若い時よりも中年になってからの『トスカーナの休日』(2003)、『セクレタリアート/奇跡のサラブレッド』(2010)、そして2015年の『トランボ』などの方がいい。

 トランボはブライアン・バクストンで僕にとっては『ブレーキング・バッド』というテレビ・シリーズでおなじみです。ブラシ髭のトランボを好演。あとは妻と子供たちの家族愛が時々の葛藤や喧嘩も含めてよく描かれていました。最後のマッカーシズム赤狩りの悲劇についてのスピーチは、それまでの画面で十分に描かれているので蛇足のような。

 小さな発見は、『ローマの休日』の元ネタがフランク・キャプラの『或る夜の出来事』(1934)だと知った事。う~ん、確かに上流階級の女性の失踪を探る新聞記者と言うベースは似ています。それと『黒い牡牛』も原案は別の脚本家が話していたとか。その脚本家も別の人から聞いた話とかあって、それはそれでインターテクスチャルに語り継がれてき物語の著作権が誰にあるかよりも、それをどう語るかの脚本家のキャラクターの造形とセリフの力だと思いました。

 さて、レッド・パージの時代のハリウッドと、やはり女性作家がコロナの状況を真摯に書いた日記がバッシング受ける武漢において共通する息苦しさについて考えてみました。

 写真は非米委員会の聴聞会におけるトランボ夫妻。煙草を吸う奥さんのクレオも格好いいハンサム・ウーマンです。