アメリカン・シーンの画家

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  僕はちょっとこってりした筆づかいだけれど庭のきれいな風景画だと思っていましたが、少しちがったチャールズ・バーチフィールド(1893 – 1967)。一昨日のミルトン・エイヴリーとほぼ同年代。と言う事は20世紀初頭のモダニズムフォーヴィズム(野獣派?)、キュービズム(立体派)、シュールレアリスムなどの洗礼を受けています。

 それとアメリカの場合、上記のヨーロッパへの反動として、地方の特色を意識する「リージョナリズム」、退廃的な都市生活をリアルに描く「ごみ箱派」、機関車などの物質文明を詳細に描く「プレシジョニズム」など、総じて第1次大戦後と大衆文化の浸透と大恐慌という波乱の時代のアメリカ的なテーマをリアリズムで描くスタイルをアメリカン・シーンと言われるようです

 さてバーチフィールドに戻りますと、自然や街の風景を描く水彩画家と思っていました。オハイオ州に生まれ育ち、1921年クリーヴランドの美術学校を終えてニューヨークに出て来ます。職業は壁紙会社のデザイナー。アメリカによくある商業美術で生活をながら絵を描き続ける。

 もちろんヨーロッパのフォーヴィズムモダニスト、さらには中国の絵画の影響もある。友人のエドワード・ホッパーに言わせると、超越的な風景を神秘的に描くのだそうです。ハドソン・リバー派につながるスピリチャル的な自然と風景を描く側面のある。中国の絵画の影響もそれと関係するかな。

 水をあまり使わないで、かつ後から書き足していく。水彩画が油絵ほど画質?が長持ちしないという考えに反対したようです。画風は家や小さい町の風景から、昆虫や蛙の少し不気味な絵の時期とがある。確かに画集をめくっていくとそうでした。総じてニューイングランドという地方と都市の中間的な19世紀のアメリカ的な伝統を受け継ぐ画家とまとめられそうです。

 ニューヨーク州バッファローに彼の作品を展示した美術館があります。バッファローと言えば何度か行ったのですが、ナイアガラの滝を見るための中継地点で、その時はバーチフィールドの事は知りませんでした。

 写真はYellow Afterglow。「黄色い夕映え(残照)」で不気味?ではなない方の画風の例です。