ミルトン・エイヴリーでほっこり

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 2001年にニューヨークにいた時に(また20年前の話ですが)、6番街と7番街の間52丁目にいたので、セントラル・パークの南にある近代美術館は歩いて10分もかかりませんでした。ここの会員になったのですが改修中で見られない展示もけっこうありました。セントラル・パークのイーストのメトロポリタン美術館も会員になったので専用のレストランを使えました。近くにグッゲンハイム、ホイットニーなどの美術館もありミュージアム・マイルといわれています。その時に見た展示で気に入った画家の画集を買ってきました。それを少し紹介しようと。

 ミルトン・エイヴリーは1885年ニューヨーク州生まれ、コネチカット育ち、父親はなめし皮職人、地元の絵画教室で学び、30代後半に結婚、生活のためにイラストレーターをしながら絵を描く。40代まではあまり評価されなかったようです。1965年79才でなくなりました。

 ある時、金融資産家で絵画のパトロン、ロイ・ロスチャイルド・ノイバーガーがエイヴリーの作品の価値を認め、100作以上購入し、世界中の美術館に寄贈したんですね。ミドル・ネームのロスチャイルドに注目。その結果、エイヴリーは金銭的に芸術的に認められ、成功した。

 1930年代に共に17才年下で抽象表現主義ユダヤ系のアドルフ・ゴットリーブとマーク・ロスコと知り合い、光る色と簡素化したフォルムの影響を受ける。1963年アメリカ芸術科学アカデミーの会員。1949年心臓病の後は半が制作、次第に大人しい色使いに変わる。

 スタイルはアメリカの抽象画の伝統に沿っていて、でも色遣いは具象画的?色彩が華かなのと革新的な風景画からアメリカのマチスとされたり、アンリ・ルソー的な幻想的な絵柄だったりします。僕も持っている解説付きの画集では説明のために「リムナー」というアメリカ絵画史初期の「日曜画家」が取り上げられているので、少し素人っぽい、プリミティヴ的な絵の部分もあるようです。

 明らかに具象画ではない。抽象画なんですが人や動物、風景がシンプルな線描と温かい色使いで描かれています。

 テーマはセントラル・パークだったり、自分の居間、家族、山、海、鳥などが輪郭が曖昧でぼやけているのが、見て暖かいほっこりとした気持ちになります。

 アメリカ絵画史にはあまり出てこない画家ですが、そんな画家が多いですけど、そしてアメリカ絵画史的な本も多くないのですが、知られていなくてけっこう素敵な画家がいます。