カミュと『100分で名著』

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  しばらく前からNHKの毎週月曜日25分×4回で毎月一つの作品を取り上げています。今月は『ピノッキオ』ですが、先ほど再放送かカミュの『ペスト』を取り上げていました。

 この『100分で名著』は女性アナウンサーと伊集院光君が司会で、取り上げる作品の専門家に話を聞くスタイルです。女性アナウンサーは僕の知る限り今の安部みちこさんが4人目だと思いますが、伊集院君はかわらない。というか伊集院君の専門家の解釈や説明へのコメントでもっている。その理解が鋭いです。時々専門家も「その通りです」と言う。そう言わなくても「その通り」である事が多い。時に専門家の少し専門的過ぎる説明を、伊集院君のお笑いや落語の世界や表現で説明し直して、それがまた的確で腑に落ちます。

 さて今回は今売れているという『ペスト』。指南役はフランス文学の中条集平さん。最終回の4回目はさらに哲学者・武道家内田樹さんが登場すると言うので、階下から奥さんが呼んでくれて一緒に見ました。

 中条さんの説明もいいですが、内田さんの話し方は表現や身ぶりも含めて魅力でした。彼の本は約20冊持っていて語り口はだいたい知っているのですが、動いている?のを見るのはほぼ初めてで、やっぱりこれは女性に限らず、男性も引き付けるような生き生きとした話しぶりでしたね。かみさんは何かバーで話しているような感じね、と少し否定的でしたけど。僕は支部の事務局長時代に神戸女学院大学に在任中の内田さんに支部大会の講演を依頼した事がありますが、その時は入試部長で忙しいのでと断られました。

 さて『ペスト』について初めて知りましたが、なかなか面白そうでした。カミュ本人も興味深い。第2次大戦後の勝った側のレジスタンスの負けた対独協力派への態度、サルトルとの関係、ノーベル文学賞後の故郷アルジェリア独立運動への非協力、そして最後の突然の自動車事故死など波乱万丈でした。