ローカル/女流/Lという辺境?性

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 昨日は朝一で暖房の取り換えの作業が入り、担当者に挨拶をしたあと兄の事務所で墓地使用許可証を受け取り、石材店の担当者と霊園管理事務所で墓地の工事の許可を取って、帰宅。

 タイトルは来週の研究会で取り上げるセアラ・オーン・ジュエット(1849~1909)の作品と作家についてです。辺境と言うのは少し違うかも。少なくとも中心ではないスタンスという意味です。

 いずれにしても19世紀後半のアメリカ北東部、ニューイングランドメイン州(彼女の故郷)を舞台に普通の特に女性の暮らしを自然の描写も含めて淡々と描く作風であると言えます。

 特にドラマティックなストーリーはなく、海岸に住む薬草を育てる家主さんの家に滞在する女性作家の視点で、女性や退職した男性(元船長など)のエピソードが面白い。

 ローカル・カラーの作家と言われるようですが、ニューイングランド自体はニューヨークとならんでアメリカの中心でもあるのですが、ニューイングランドの都会ではなく田舎はローカルと言われるようです。英語ではreginnalism、地方の主権を唱える今風の使い方ではなく、地方の特徴を描く作風です。

 で、『とんがりモミの木の郷、他五篇』(岩波文庫)を読んでいて、僕のような年寄りに向いている穏やかな作風だなと感じたり、ドラマはないと言いながら、元船長の冒険・奇譚もあり、リアリズム的な描き方の中に間接的にロマンスも含まれているとも思いました。

 それとLというのは、女性同士の交流の中に、ホモ・ソーシャルだけではなく、ホモ・セクシュアルの匂いも少しあって、レズビアンの作品・作家でもあるのかなと思います。フェミニズムの狭量な攻撃的な感じはありません。

   それとこれは男性の偏見かも知れませんが、男性の同性愛よりも女性の方が視覚的にも嫌悪感?が少ない。女性同士って友達でも手をつないだりしても違和感がないし、、ホモ・ソーシャルだけとホモ・セクシュアルの境界が曖昧な気がします。

 自分にとって新鮮な分野の小説なので、これから原書で読み直そうと。