Who Doesn't Like That?

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  翻訳のミステリーを読み終わると、その作家の翻訳がまだできていない原書をペーパーで読む日々が続いています。

 前にもふれましたけど、マイケル・コナリーのボッシュ・シリーズ。イギリスのミック・ヘロンの窓際スパイもの、やはりイギリス(北アイルランド)のエイドリアン・マッキンティの刑事ショーン・ダフィ・シリーズなど。

 ショーン・ダフィ・シリーズは1980年代の北アイルランドが舞台で、カトリックの刑事って、北からも南からの嫌われる難しい立場です。北アイルランドプロテスタントのイギリス人が警察も含め主流。北アイルランド解放・独立を目指す武闘派テロリストたちは、カトリックなのに刑事という事で裏切者扱いをします。

 タイトルはショーン・ダフィ・シリーズの4作目から。

 McArthur took a gulp of his Whisky and I did the same. Twelve-year-old Islay. Good stuff if you liked peat, smoke, earth, rain, despair and the Atlantic Ocean, and who doesn't like that?

   ショーン警部の上司のマッカーサーはオフィスの机から20年物のアイラを出して、たっぷりグラスに注ぎます。燻したピートと土と雨の香り、それと絶望と大西洋が嫌でなければ、好きにならずにはいられない極上の酒だ。

 刑事がオフィスで上司とスコッチのシングル・モルトを飲むなんて、羨ましい。でもさりげなく「絶望」という北アイルランドの状況をはさんでいます。

 ロンドンに半年いた時にアイルランドのダブリンを訪れて、ジェームズ・ジョイス・センターや『ユリシーズ』に出て来るパブをまわりました。ギネスの工場でも出来立ての黒ビールを飲んできました。

 僕の前の世代の教授たちは研究室にお酒を置いておいて、たまの僕もご馳走になりました。僕はランチに蕎麦屋やすし屋でビールと日本酒(1合か5勺)を飲んで、研究室に戻った事もありました。